2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical analysis and development of free boundary problems arising in grain boundary motion phenomena
Project/Area Number |
26400179
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山崎 教昭 神奈川大学, 工学部, 教授 (90333658)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 関数方程式 / 実函数論 / 力学系 / 最適制御 / 自由境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,力学境界条件を課した,閉区間[-1,1]上の指示関数の劣微分項を含む Allen-Cahn方程式の特異極限問題を考察し,界面運動の挙動の解析を行った。ノイマン境界条件の場合と同様に,H^1 の dual space の位相で解析することにより,領域内と境界上,それぞれにおいて,指示関数の劣微分項の元の特異極限を明らかにすることができた。また,領域内と境界上,それぞれにおいて,指示関数の劣微分項の元の特異極限と解の特異極限関数との関連も明らかにすることができた。力学境界条件の場合,特異極限関数の境界値の性質も得ることができ,特異極限問題における力学境界条件とノイマン境界条件との相違を明らかにすることができた。この点が本年度の重要な研究成果である。 また,力学境界条件を課したCahn--Hilliard 型の相転移モデルに対する境界最適制御問題を考察した。実際,適切な近似方程式や近似最適問題を提唱し,それを経由することで,力学境界条件を課したCahn--Hilliard 型相転移モデルの境界制御問題に対する最適制御解の存在とその性質を明らかにした。 さらに,時間依存劣微分作用素に支配された抽象非線形発展方程式を考察し,解の一意性を必要としない特異最適制御問題の定式化・理論の構築を行った。Kobayashi-Warren-Carter により提唱された結晶粒界モデルでは,解の一意性が保証されていない。今年度構築した特異最適制御理論は,Kobayashi-Warren-Carterモデルには直接応用できないが,その方法論は有効であると考えている。
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