2014 Fiscal Year Research-status Report
2点境界値問題の解の個数と振動解の長さとフラクタル次元
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26400182
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
田中 敏 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90331959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 2点境界問題 / 正値解 / 符号変化する解 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な場面に現れる重要な方程式である非線形スカラー場方程式の球領域や円環領域における符号変化する球対称解が一意であるためのいくつかの十分条件を新しく得ることができた。その正値解の一意性は既に解決済みであったが、符号変化する球対称解の一意性についてはほとんどなにもわかっていなかった。今回の手法はある変数変換を用いて問題を2点境界値問題へと変換し、その変換された問題について研究代表者が過去に得た手法を改良したものを適用するというもである。このことは、2点境界値問題の研究はそれ自身が重要であるだけでなく、応用上も大切であることを表す一例となった。 韓国ウルサン大学 Inbo Sim 氏を平成26年12月に招いて共同研究を行った。それにより、符号変化する重み関数をもつ一次元の p-ラプラス作用素をもつ2点境界値問題の3個の正値解の存在のための十分条件を一つ発見することができた。これまで正の重み関数をもつ場合、3個の正値解の存在は多く得られてきたが、符号変化する重み関数をもつ場合についてはほとんどなにもわかっていなかった。通常、符号変化する重み関数をもつ場合、解の評価は困難である。しかし、本研究では、第一固有値の変分構造と今回新たに与えた非線形項に関する極限条件を組み合わせることにより、その困難を克服することができた。この方法は符号変化する重み関数をもつ別の問題に応用可能なものであり、今後の様々な進展が期待される。 佐賀大学梶木屋龍治氏、東京理科大学田中視英子氏との共同研究により、一次元 (p,q)-ラプラス作用素をもつ自励系の2点境界値問題の解の個数に関する結果を得た。これまで、(p,q)-ラプラス作用素をもつ問題について様々な結果が得られてきたが、最も基本的である一次元で自励系の場合についての今回のような詳しい結果はなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は Liouville-Gelfand 型の問題をあつかう予定であったが、それと同じくらい重要である平成27年度以降に行う予定であったスカラー場方程式の符号変化する解の解析方法のアイディアが浮かんだため、そちらを先に研究することとした。Liouville-Gelfand 型の問題については平成27年度に行う。平成27年度以降に行う予定であった韓国ウルサン大学 Inbo Sim 氏との共同研究も Sim 氏の意向により平成26年度に行うことができた。また、佐賀大学梶木屋龍治氏、東京理科大学田中視英子氏との共同研究により、一次元 (p,q)-ラプラス作用素に関する結果も得ることができた。微分方程式系の解曲線の有限長性に関する研究も現在進行中である。以上を総合するとおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように平成27年度は Liouville-Gelfand 型の問題については研究を行う。それ以外に関しては計画通り進めていく。
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Causes of Carryover |
平成27年度での講演発表の依頼を複数受けたため、平成26年度の研究発表用の予算を平成27年度に繰り越すことした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
微分方程式関係の図書を購入する。研究打ち合わせや情報収集のため、2点境界値問題の研究者の研究室に訪問したり、研究集会に参加する。また、研究集会などで研究成果を発表する。もともと計画している以上に、いくつか国内外から講演依頼を受けているので、平成26年度の未使用分をその旅費に使用する。
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Research Products
(1 results)