2015 Fiscal Year Research-status Report
2点境界値問題の解の個数と振動解の長さとフラクタル次元
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26400182
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
田中 敏 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90331959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 2点境界値問題 / 正値解 / 符号変化する解 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次元リウヴィル型方程式の対称解から非対称解の分岐が起こることを発見することができた。その内容を東北大学、富山大学や大阪大学での研究集会や筑波大学での学会にて講演発表を行った。その内容をまとめた論文を国際学術誌に投稿した。これまで、リウヴィル型方程式の球対称解の構造はどの次元でも完全にわかっている。しかし、非対称解の構造については、二次元の円板領域の場合の完全な結果を除くと、その他の次元についてはよくわかっていなかった。本研究を通じて得ることができたある比較関数を使うと、一次元リウヴィル型方程式の対称解のモース指数を調べることができた。対称解の最大値が大きくなるにつれ、そのモース指数は0から1、1から2へと増加し、ルレイ・シャウダーの写像度の理論により非対称解の分岐が起こることがわかった。この方法は他の諸問題へも応用可能なものであり、今後の様々な発見が期待される。 韓国ウルサン大学の Inbo Sim 氏と上記の方法を応用して一次元の Henon 型方程式の非対称解の分岐について共同研究を始めた。 クロアチアのザグレブ大学の Mervan Pasic 氏と2階線形微分方程式の振動する正値解について共同研究を行い、その内容をまとめた共著論文を国際学術誌に投稿した。これまで、2階線形微分方程式の単調である正値解についてはよく調べられてきたが、振動する正値解についてはほとんどよくわかっていなかった。従って、今回の Mervan Pasic 氏との共同研究は新しいものである。 中国の東北師範大学の Fentao Wu 氏と振動解に関する研究打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に投稿した2編の論文も掲載受理となり、今年度も「研究実績の概要」で述べたように新たに2編の論文を投稿することができた。これらは交付申請書で予定していたものであり、本研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は韓国ウルサン大学の Inbo Sim 氏と上記の方法を応用して一次元 Henon 型方程式の正値非対称解の分岐について引き続き共同研究を行う。また、一次元 Henon 型方程式の符号変化する解の分岐現象についても取り組む。2点境界値問題の専門家である Shin-Hwa Wang, Kuo-Chih Hung の両氏を台湾から日本に招へいして、共同研究を行い、本研究をさらに進展させる。交付申請書では無限長振動解のフラクタル次元の問題に取り組む予定であったが、今年度の研究により、無限長振動解自体の研究が不十分であることが判明した。そのため、今後は Pasic 氏と無限長振動解について共同研究を引き続き行う。その後、そのラクタル次元を調べる。
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Causes of Carryover |
次年度に2点境界値問題の専門家である Shin-Hwa Wang, Kuo-Chih Hung の両氏を台湾から日本に招へいして、共同研究を行うことになったので、そのための予算の一部として次年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
微分方程式関係の図書を購入する。研究打ち合わせや情報収集のため、2点境界値問題の研究者を訪問したり、研究集会に参加する。特に、2点境界値問題の専門家である Shin-Hwa Wang, Kuo-Chih Hung の両氏を台湾から日本に招へいして、本研究を進展させる。また、研究集会などで研究成果を発表する。
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Research Products
(9 results)