2014 Fiscal Year Research-status Report
多値論理における極小クローンと本質的極小クローンの決定と分類
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26400188
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
町田 元 国際基督教大学, アーツ・サイエンス研究科, 研究員 (40090534)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 離散数学 / 普遍代数 / クローン理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
多変数関数 f に対し,f が生成するクローンが f の minor と射影関数しか含まないとき,そのクローンを lazy clone とよぶ。多くの lazy clone は本質的極小クローンであるが,本質的極小クローンではない lazy clone も存在する。本質的極小クローンと lazy clone の関係について研究を行い,f が2変数関数の場合を解決した。この研究は T. Waldhauser 准教授(ハンガリー)との共同研究である。 また,多数決関数または semiprojection を witness としてもつ中心化モノイドの決定と分類の研究を行った。これは,当初,28年度に行うことを予定していた研究の一部にあたる。極小関数となる多数決関数といくつかの semiprojection は,witness として,極大中心化モノイドに対応する。この意味で多数決関数と semiprojection はクローンの交換性理論において重要な位置を占める。本年度は,3値の場合について多数決関数および semiprojection を witness とする中心化モノイドをすべて決定した。この研究は,M. Goldstern 教授(オーストリア),I. G. Rosenberg 教授(カナダ)との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,当初,研究目標として次の3項目を掲げた。(i) 極小クローンを生成する多数決関数および semiprojection の分類,(ii) 本質的極小クローンの決定: 3値の場合と一般の場合,(iii) 「ガロア対応」における極大中心化モノイドと極小クローンの関係の解明。 26年度に行った研究のうち,lazy clone に関する研究は項目 (ii) の本質的極小クローンの決定に関わる研究である。現段階で得られている成果は,本質的極小クローンの決定を進める方向の成果というよりも,この問題の難しさを再認識させる方向での成果と言える。しかしそれは,クローン理論の研究者の間で極小クローンや本質的極小クローンの分類が極めて難しい問題であると認識されていることを想起するとき,止むを得ないことであると思われる。研究対象の状況についての正確な認識を得るために必要な研究の一つである。 多数決関数または semiprojection を witness としてもつ中心化モノイドの研究は,上記の項目の (iii) に関連する研究である。極小クローンを生成する多数決関数および semiprojection の研究を進めるための一段階としての研究であり,大きな目標に向けての一ステップである。
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Strategy for Future Research Activity |
上欄に記した項目(i) について,極小クローンの生成元(すなわち,極小関数)となる多数決関数および semiprojection の決定を目指した研究を行う。町田は,以前,素数ベキの k に対し,関数を GF(k) 上の多項式として表現し,極小関数の特徴を抽出しようとする研究を行った。この手法を進展させ,とくに4値の場合の新しい結果を踏まえて,最小関数となる有限体上の多項式の実例をふやすことから研究を始めたい。 項目(ii) の本質的極小クローンの決定に関する研究も行う。k 値 (2 < k < ω) の基礎集合の上の本質的極小クローン C は k 以下の arity をもつ関数によって生成される。C の生成関数の arity の最小値を C の rank という。予備的考察によれば,k 値 ( k > 2 ) の本質的極小クローンで 3 以上の rank をもつものの多くは,k-1 値の極小クローンから誘導されるものであると予測される。とくに,この点に注目して本質的極小クローンの分類の研究を進める。 また,項目 (iii) に関連して,中心化モノイドの研究,とくに極小クローンと極大中心化モノイドの関係の研究,も継続して行う。
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