2014 Fiscal Year Research-status Report
Thomassen予想とTutte閉トレイル問題の研究
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26400190
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
善本 潔 日本大学, 理工学部, 教授 (90307801)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グラフ理論 / 2因子 / サイクル / ハミルトンサイクル / ライングラフ / クローフリーグラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
Faudree教授(アメリカ・メンフィス大学)やLi教授(フランス・パリ第11大学)との共同研究である、最小次数が大きいグラフにおけるハミルトンサイクルの研究を行った。具体的には、Kierstead, Sarkozy, Selkowはp-orderedハミルトニアンであるための最小次数条件に関する十分条件を与えたが、本研究では、p-orderingという性質を、次のように弱めた時の十分条件を研究した。即ち、グラフのk点からなる交差のない2つの集合X,Yに対して、その2つの集合に含まれる点を交互に通るハミルトンサイクルが存在するための最小次数条件を与え、さらにkの上限を(n+1)/10まで改良した。この結果の元となる研究は、2013年にFaudree教授やLi教授と行われた。その時得られた条件はnがkに対して十分に大きいというものだったが、本研究者がパリ第11大学を訪問し共同研究を進め、今回kの上限を大幅に改良することに成功した。この結果について、ニュージランド・ウェリントンにあるビクトリア大学で開催された国際会議「第38回組合せ数学オーストラリア国際会議」で本研究者が講演を行った。また、国内では12月に龍谷大学で開催された応用数学合同研究集会で講演を行った。 他にも国内外の研究集会に出席し、講演を行った。具体的には、9月に広島大学で開催された日本数学会で、上記の研究のもととなる研究によって得られた成果について講演を行った。また3月にはチェコ・ピルゼンで開催されたMatthews-Sumner予想に関する研究集会に出席し、3正則グラフにおける偶グラフについて講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラフのハミルトンサイクルや2因子の研究を目的としている本研究において、重要なグラフの族である稠密なグラフのハミルトンサイクルについての成果が得られた。特にこれまで考えられてこなかった、指定した点集合を、ある意味曖昧に通るハミルトンサイクルについて、全く新しい成果が得られ、当初の計画通り研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の成果は、重要な道具としてThomasとWollanによるlinkageという道具を使っている。この主張はとても強力で、我々の証明でももっとも重要な部分を支えている。しかし一方「曖昧に通る」ハミルトンサイクルを考えるとき、linkageは強力すぎる感がある。実際、kの上限を考えると、現在の結果は最良な値からはまだ離れていると予想しているが、linkageを使った証明ではこれ以上の改良は難しいと考えられている。そこで、「曖昧に通る」サイクルを構成する新しい道具を開発する。 3正則グラフにおける偶グラフの研究は始まったばかりである。今後は、チェコで発表した成果を踏まえ、他の研究者との交流を活発に行い、新たな問題や予想を開拓する。
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Causes of Carryover |
チェコ出張が3月末で、当該年度中に精算することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
チェコ出張旅費として使用予定。
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