Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 不動点理論と凸解析に関する非線形関数解析学の基礎理論を体系的に確立する研究を行い, それも基にして不動点理論・不動点近似の立場から非線形問題を再構成し, 不動点の存在・不動点近似やattractive point近似に関して研究してきた. それを基に, 非線形最適化問題等の非線形問題の解への収束定理を確立することを念頭に, 新たに導入したcommon attractive point, acute pointへの収束定理も研究してきた. 平成26年度に得られた成果の主要なものは以下の成果である. 写像族に対して, 不動点を一般化したattractive pointを考え, それの基礎性質を考察し, 必ずしもその定義域に凸性が仮定されていない写像族のcommon attractive pointへの強および弱収束定理を証明した. より広く非線形問題への応用の足がかりを確立するのに有効と見込まれることからattractive pointをさらに一般化したacute pointを新たに導入し, それの基礎性質に関する成果を示した. また, 不動点, attractive point, acute pointの相互関係についての成果も示した. それを用いて, 最近注目されつつあるk-シュードコントラクティブ写像およびそれらに関連する写像への不動点, attractive point, acute pointへの収束定理に力を入れて研究してきた. さらにその写像族のcommon attractive point, common acute pointの基礎性質についての成果を示し, 共通不動点, common attractive point, common acute point相互関連性についての成果も示した. それらも基にして, 新しいタイプのイタレーションを用いて, それらへの収束定理を示すことができた. さらに, それの応用として, 均衡問題へ結びつく収束定理を得られた. これらの成果は国内外の雑誌で公表されたり, 国内外の研究集会で発表して大変関心を持たれた. これらの事は, 本研究が順調に進み, 成果をあげたことを意味し, 今後の発展的な研究に結びつくことも裏づけている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した当初の計画事項は進められたし, さらに当初計画の先にあたるいくつもの研究成果も得られ, それらは平成26年度中に国内外の雑誌に論文掲載されたもの, 論文掲載が決定して印刷中のものがある. また, これらの成果は国内外の雑誌で公表されたり, 国内外の研究集会で発表して大変関心を持たれた. これらの事は, 本研究が順調に進み, 成果をあげたことを意味し, 今後の発展的な研究に結びつくことも裏づけているといえる. 具体的には以下の状況で, 順調に進展している. 申請書に記載した通り, あまり研究されていないが非線形最適化問題等の非線形問題には有効と見込まれる写像に対しての不動点近似, attractive point近似の成果を得た. 非線形問題への応用が見込まれる, 不動点集合を一般化したattractive pointの概念を非拡大半群のcommon attractive pointの概念に広げ, それの基礎性質に関して, いくつもの収束定理にも用いられる新たな成果を示した. それらの新たな成果を用いて, これまで研究されていなかったuniformly asymptotically regular性質を満たす写像族のcommon attractive pointへの強および弱収束定理や平均収束定理を示すことができ, それにより非線形問題への応用の足掛かりを築けた. また平均の概念も用いない新たな手法を用いたHalpern法やBrowder法などによるattractive point近似の研究に力点を置き, その結果, uniformly asymptotically regular nonexpansive semigroupのcommon attractive pointへの弱および強収束定理を示せた. さらに非線形問題への応用を考え, 写像族に対するcommon attractive pointから考えたcommon acute point近似の研究に力を入れ, いくつかの点列近似法を適用し, 収束定理を研究した. これらに関連したいくつも有効な研究成果を得られ, その分計画よりもさらに進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進んでいるので平成26年度までの研究成果も基にしながら, 以下の大枠の目標を掲げてすすめることを研究推進の方策の1つと考える. (1)不動点理論に関する非線形関数解析学の基礎理論の確立, (2)不動点を一般化したattractive point, acute pointをもとめる点列近似法の理論体系の確立, (3)非線形問題の解をもとめる点列近似法の再考察と発展. それを進めるために以下の具体的な方策を立てて進める.この大枠の目標に従って進めるため, これまでの成果も基にし, 数値実験もしながら進める. 1. 最近有効性が見込まれつつあるCAT(0)やBanach空間において, ハイブリッド写像, 一般的ハイブリッド写像, 擬非拡大写像, ノンスプレッド写像, スキュ-ノンスプレッド写像等まだあまり研究されていないが非線形最適化問題等の非線形問題には有効と見込まれる写像・作用素に対してBrowder type法, Halpern法, shrinking projection法, Hybrid法等の点列近似法及び新たに考えた点列近似法等の不動点近似法やattractive point近似に適用できるか研究する. それらのもつ意味, 重要性を考察し, 本質を見極め, これらの写像に関する統一的な理論体系およびこれらの不動点やattractive point, acute pointへの収束定理の理論体系を構築する. 2. 1.やこれまでの成果を基にして, Banach空間やCAT(0)における均衡点への収束定理および非線形最適化問題の解への収束定理も確立する. 3. 最近考案された非線形射影や一般的ハイブリッド写像等については, 特に最近有効性が見込まれつつあるCAT(0)における性質などかなり未解決問題が多い. そこで, 数値実験もしながら, それらの持つ意味・基礎性質・重要性を考察し, 本質を見極め, これらの写像の基礎的性質に関する1つの体系を構築する. それを基に, これらの写像に対して使いやすい点列近似法を探求する. 今後は以上の推進方策で進める.
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