2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400200
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
谷口 隆晴 神戸大学, その他の研究科, 准教授 (10396822)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | ハミルトン力学 / 変分原理 / 離散力学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は解析力学の基本原理である変分原理に関する構造保存型数値解法の拡張に取り組んだ．既存の構造保存型数値解法の多くは最小作用の原理を基本として設計されている．本研究では，この原理の変形である Caldirola-Kanai 型の変分原理を用いた数値解法を構築し，その性質を調査した．Caldirola-Kanai型の変分原理はエネルギー散逸系を導く変分原理である．この原理をこれまでの構造保存型数値解法の導出法と組み合わせることで，摩擦項を含む質点系の運動に代表されるような，エネルギー散逸性をもつ系に対してその性質を保った数値解法を導出した．また，この変分原理から導かれる系は相空間上で面積減衰性をもつことも知られている．この性質はハミルトン系におけるシンプレクティック性に対応しており，拡張されたハミルトン系であるバーコフ系に特徴的な性質である．本研究においては，離散力学と呼ばれるタイプの構造保存型数値解法を用いた場合に，数値計算法においても面積減衰性が満たされることを理論的に証明した．
また，もうひとつの変分原理に関する拡張として，概複素構造を用いた変分原理についても考察した．構造保存型数値解法のいくつかは余接空間上で記述されたハミルトン系にのみ適用可能であり，一般のハミルトン系に対する適用が難しいものが存在する．一般のシンプレクティック空間においても，その空間にRiemann計量が定義されていれば，それを利用することで概複素構造と呼ばれる構造を導入することができ，それを用いた変分原理によってハミルトン方程式が導出可能である．そこで，本研究では，この事実を用いていくつかの構造保存型数値解法を一般のハミルトン系に拡張した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は有限要素外積解析と離散力学理論の融合である．今年度は離散力学理論が基礎としている変分原理に着目し，その適用可能性の拡張に取り組んだ．特にCaldirola-Kanai型の変分原理を用いた拡張は，離散力学理論を散逸系に拡張することを可能とする．有限要素外積解析の対象は，現在のところ，楕円形方程式や放物型方程式など，散逸現象を扱う方程式が中心である．そのため，この二つの理論を融合させるためには，まず，散逸系から取り組むべきであると思われる．今年度の離散力学理論における拡張は，これを進めるために重要となる．
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は，まず，Caldirola-Kanai型の変分原理を応用することで，これまでに達成してきた散逸型構造保存型数値解法を偏微分方程式に対して拡張する．特に，拡散方程式が扱えるようになれば，空間方向の離散化を有限要素外積解析による方法に置き換えることで，二つの理論を融合した数値解法が導出できるようになる．今年度は，これを目指し，可能であれば有限要素外積解析による理論を応用した誤差解析・安定性解析・収束性証明などに取り組む．
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| Causes of Carryover |
変分原理を基礎とした離散力学理論の拡張が進んでおり，28年度以降，この点に関する論文投稿および研究発表の機会が増加する見込みである．そのため，27年度の学会発表等についてはなるべく近距離で開催されるものに申し込むようにし，その分を28年度以降の論文別刷り代等に当てることとした．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述のように，繰越分は主に27年度における研究成果の論文投稿費用として用いる．28年度以降の研究については，当初予定通り，28年度分の研究費によって進める．
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