2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400201
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土屋 卓也 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (00163832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 健太 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (60432902)
鈴木 貴 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40114516)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Lagrange補間 / 差分商 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
三角形上のLagrange補間の誤差について詳しく調べ、大きな進展を得た。具体的には以下のことがわかった。 直角三角形を垂直に潰していく場合、1次Lagrange補間の誤差評価は悪化しないというBabuska-Azizの定理(我々は「Squeezing Theorem」と呼んでいる)を一般の次数のLagrange補間の場合に拡張した。まず、直角二等辺三角形内の格子点上の長方形の数と多項式からなる空間の次元との間にある関係がなり立つことに気づいた。その事実と二変数関数の差分商の議論を使うと鍵となる補題が示せて、さらにSqueezing Theoremが示せた。 任意の三角形は、線形変換による直角三角形の像として得られるので、あとはその線形変換の2つの特異値の比を調べれば良い。本研究では、その特異値の比が三角形の外接円の半径で特徴づけられることを示し、広く教科書で知られている評価を拡張することに成功した。 以上の結果は、四面体の場合に拡張できることも示した。つまり、「直角四面体」を1つまたは2つの方向から垂直に潰していく場合は、Lagrange補間の誤差は悪化しないことを、全く同様な方法で示した。ただし、四面体の場合は評価式に若干の制限がつく。これは、Sobolevの埋め込み定理とtrace作用素の連続性からくるもので、先行研究により改善できないことがわかっている。 一般の四面体についても、Lagrange補間の誤差評価が、線形変換の特異値の最大のものと最小のものの比を使って表すことができることを示した。あとは、その特異値の比を四面体の幾何学的な量で表現できれば、全く新しい誤差評価式が得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Lagrange補間の誤差を三角形の直径と外接半径を使って評価することに成功した。その際、三角形の幾何学的形状には全く制限をつける必要がない。これは、三角形の幾何学的形状に何らかの制限を課す従来の誤差評価と異なり、大きな進展と言える。 また、四面体の場合に同様な手法が適応できることを示した。四面体の場合には、先行研究が少なく、これも大きな成果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) まず最初の目標は、一般の四面体上のLagrange補間の誤差について、三角形と同様な評価式を得ることである。実は、2016年の3月から5月にかけての研究で、これに成功した。得られた評価式は、四面体の「射影外接半径」を使うもので、いままで全く知られていなかったものである。四面体は古代ギリシャの時代から研究されているものだが、四面体の「射影外接半径」は本研究で初めて発見されたものだと思われる。 (2) 次の目標は、潰れた三角形要素を使ってStokes方程式の有限要素解を求めることができるかどうかを調べることである。そのためには、潰れた三角形要素上で「inf-sup条件」が成り立つかどうかを調べることが必要である。 (3) 有界領域上のPoisson方程式を、三角形要素上のCrouzeix-Raviart要素で近似する場合、三角形分割に潰れた三角形が含まれるときに有限要素解の誤差がどのようになるかを調べることも重要な目標である。Crouzeix-Raviart要素はいわゆる不連続Galerkin有限要素法の特別な場合であるので、その研究は不連続Galerkin有限要素法で潰れた要素を使うことについての研究の足がかりになると思われる。
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Causes of Carryover |
一年間、科研費を使ってきたが、最後に若干のお金が余った。次年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度で、図書の購入などに使用する予定である。
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Remarks |
いままでに発表した4つの論文をまとめたレクチャーノートです。
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Research Products
(13 results)