2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400208
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
岩崎 雅史 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (30397575)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 力学系 / 相似変形 / 行列の固有値 / 病理モデル / リーシンメトリー / dLVsアルゴリズム / Stride Reduction法 / 代数方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(平成27年度)に得られた研究成果は次に示す4項目に分類される。 <項目1> 最終年度(平成28年度)の研究目的を円滑に進めるために、遅延を含む病理モデルなどの力学系について調査を進めた。 <項目2> 最終年度(平成28年度)の研究目的を円滑に進めるために、リーシンメトリーによる力学系の簡約化理論について調査を進めた。帯行列の相似変形に対応する力学系は前年度(平成26年度)の研究で導かれたが、そのうち対称5重対角行列の相似変形に係わる力学系に対して適切な変数変換を施し、その力学系に対する離散化を通じて対称5重対角行列の固有値を求めるためのアルゴリズムの定式化に成功した。また、対称3重対角行列の固有値を求めるためのdLVアルゴリズムに対して、収束加速のために原点シフトを導入したdLV with shift (dLVs)アルゴリズムも定式化した。dLVアルゴリズムの原点シフト版として以前にmodifide dLV with shift (mdLVs)アルゴリズムを提案したが、dLVsアルゴリズムはmdLVアルゴリズムと異なりdLVアルゴリズムに素直に原点シフトを導入したアルゴリズムである。 <項目3> 前年度(平成26年度)にひき続き、連立1次方程式の直接解法の1つであるCyclic Reduction (CR)法およびStride Reduction (SR)法に関する研究を進めた。自由度のないCR法に対して数値不安定性を回避できるようにSR法に柔軟性をもたせ、MRRR法やI-SVD法に組み込んだ際も連立1次方程式の係数行列は都合のよく変形できることを示した。また、ブロック版のCR法およびSR法に関する研究も併せて進めた。 <項目4> 前年度(平成26年度)の研究成果をもとに代数方程式の求解アルゴリズムを定式化した。前年度(平成26年度)にひき続き、逆固有値問題についてもHessenberg行列から密行列への拡張に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載したように、当初の計画の加えて周辺まで研究が進展している。 <項目2>の研究成果に関する論文については1編が掲載済み、2編が現在執筆中である。また、当該年度(平成27年度)に金沢大学角間キャンパスで開催された日本応用数理学会年会のポスターセッションにおいて、最優秀ポスター賞を受賞するなど高く評価された。 <項目3>の研究成果に関する論文については1編が掲載済み、1編が現在執筆中である。 <項目4>の研究成果に関する論文については3編が投稿中、2編が現在執筆中である。 以上より客観的な数字からも研究全体の進展状況は良好といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度(平成26年度)と同様、当該年度(平成27年度)も当初の計画以上に順調に進展したので、最終年度(平成28年度)も当初の計画で予定された研究を遂行する。最終年度(平成28年度)は特任助教を雇用し、これまで計画以上に展開した部分も含めて、より多くの研究成果が得られるように積極的に進める。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画時には予想困難な校務の増加で、とりわけ情報収集や成果発表のための出張がままならず、当該年度(平成27年度)に配分された予算の一部を最終年度(平成28年度)への持ち越した。幸いにも当初の計画以上に研究目的が達成されたので、当該年度(平成27年度)12月時点において更なる進展のため最終年度(平成28年度)に人件費として使用する計画に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画以上に研究が周辺まで展開したので、より多くの研究成果を上げるために特任教員を雇用する。
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Research Products
(10 results)