2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400209
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
会沢 成彦 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70264786)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リー群 / 微分方程式の対称性 / 拡張されたリー超群 / 国際研究者交流 / ブラジル:インド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は共形ガリレイ群と呼ばれるリー群の表現論を発展させ, それを数学の他の分野や理論物理へ応用することを目的としている. 共形ガリレイ群は非相対論的な時空における共形変換の集合であり, 時空の次元を固定しても, 正の整数, または, 正の半整数でパラメタライズされる無限個の異なる群が存在する. 本年度は共形ガリレイ群と微分方程式の対称性の関連について大きな進展を得ることができた. 成果を列挙する. 1. 多次元空間への共形ガリレイ群の作用をひとつ定め, その作用で不変となる偏微分方程式のもっとも一般的な形を求めた. 2. 共形ガリレイ不変な線形微分方程式には, sl(2)の表現と関係する特別な3つの組があり, 離散的あるいは連続的なスペクトルを持つ量子力学系と関連することを明らかにした. 以上のふたつは, 共形ガリレイ群の無限列について成り立つ. 3. Levy-Leblond 方程式という方程式の対称性が共形ガリレイ群を「拡張されたリー超群」に格上げしたものになっていることを明らかにした. 「拡張されたリー超群」は Rittenberg と Wyler により1970年代に導入されたものであるが, 数学の分野でも物理の分野でもそれほど注目されてこなかった. 本研究の成果は, それが Levy-Leblond 方程式という簡単な方程式の対称性として実現していることを見出し, かつ, この現象は Levy-Leblond 方程式に限らず, ある種の一般性があることを見出したという意味で, 新しいパラダイムの導入となっている. ,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
共形ガリレイ群と微分方程式の対称性について予想外の大きな進展があったため. 特に, 拡張されたリー超群との関連は数学・物理学における新しいパラダイムである.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画どおりであるが, 次の点を重要な変更として加える. 当初の計画ではリー群とリー超群のみを研究の対象としていたが, それに拡張されたリー超群も加える. つまり, 共形ガリレイ群をリー超群にしたものに対する研究課題として挙げていた項目と同じことを, 共形ガリレイ群を拡張されたリー超群にたいする研究課題とし, この代数的なオブジェクトの数学的・物理的意味を明らかにしたい.
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Causes of Carryover |
本務校での業務が多く, 出張ができなかったため. 特に海外で開かれる国際会議などには一切参加できず, 旅費の支出が当初の計画より少なかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内旅費, あるいは国内から人を呼ぶための費用として使用する.
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