2017 Fiscal Year Research-status Report
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26400212
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石渡 恵美子 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 教授 (30287958)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 時間遅れ / 感染症モデル / 超離散化 / 数値計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,可積分系特有の手続きである超離散化に着目し,時間遅れをもつ感染症モデルの超離散型モデルを導出,連続型モデルと同等の定性的性質が保たれることを明示するに至った。また,この成果に関する論文が掲載された(雑誌論文1番目)。時間遅れをもつ方程式は渋滞のモデルなどで以前から知られてはいたが,超離散型モデルへの時間遅れの考慮や,遅れの大きさによる影響を具体的に記したものはあまり見受けられない。よって,今年度に得られた成果は超離散方程式において遅れの大きさまで言及した重要な成果といえる。超離散型モデルは解挙動が単純化されて見えるので,遅れの与え方による時間発展の様子などを具体的に把握できる。そこで,今年度には実施しきれなかった適用範囲の拡張を次年度にかけて進めたい。 また,解析がやや難しいと言われる,免疫を持たずに感受性保持者に戻る時間遅れ付きSIS感染症モデルに対し,連続型モデルと同等の解の正値性を保証する離散型モデルの導出や大域的性質まで,大学院生の協力も得て見出すことができた。この成果は数値実験も含めて,英論文として投稿しており,次年度は現実的なモデルに同じ手順を応用できるか検討する。 一方,これまでに離散可積分系の共同研究として,被捕食を表す数理生物モデルの漸近挙動と固有値計算との関連を調べてきた。その一環として,複素固有ベクトルの計算方法や収束性について言及した成果が,今年度にようやく論文として掲載された(雑誌論文2番目)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は論文が掲載されるに至ったので順調に進んでいるようにもみえるが,本申請課題の開始当初から,学内業務の多忙さによる遂行の遅れや,体調不良と世界情勢に依る出張キャンセルなどがあったため,計画全体が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに得られた手順などの応用範囲の拡充や,成果発表・論文投稿を進める。
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Causes of Carryover |
本申請課題の開始当初から,学内業務の多忙さによる遂行の遅れや出張キャンセルなどがあり,予算の使用計画がずれこんでいる。今まで得られた手法の応用範囲の拡充のための発表・調査旅費,投稿中の論文掲載料などに充てる予定である。
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