2014 Fiscal Year Research-status Report
アジョイント表現のフェルミオンを持つSU(N)ゲージ理論のラージN極限での研究
Project/Area Number |
26400249
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大川 正典 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00168874)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 素粒子理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ラージN極限での volume independence の非摂動論的研究 平成25年度までの研究では格子サイズが1の4乗の格子上での、ツイストされた時空縮約モデル(TEK-model)を考えたが、本年度はさらに一般的な時空縮約理論を考えた。SU(N)ゲージ理論で、NをL'の二乗とする。ここL'は正の整数である。格子点がLの4乗の格子理論を考えると、ラージN極限で理論はLL'にしか依存しないことが、摂動論の範囲内で示されている。本年度はこの volume independence と呼ばれる現象を、数値シミュレーションにより非摂動論的に研究した。具体的には、L=1,2,4 の場合にL'を色々にとり、L'が大きい時、Wilson loop の期待値が、LL'にしか依存しないことを確かめた。これにより、volume independence が非摂動論的に確かめられたことになる。
2)Wilson flow法を用いたステップスケーリング関数の解析 理論の固定点の研究をする最も直接的な方法は、結合定数のスケール依存性を調べることである。本年度は、TEK-modelでこの研究を行った。具体的には、結合定数のスケール依存性を記述するステップスケーリング関数をWilson flow法を用いて非摂動論的に計算した。ステップスケーリング関数は高エネルギー領域では、2ループからのベータ―関数で支配されており、低エネルギー領域では、これから優位にずれることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アジョイント表現のフェルミオンを持つSU(N)ゲージ理論のラージN極限での研究は順調に進んでいる。物理的に最も重要なフェルミオン数が2の理論は、赤外固定点を持つコンフォーマル理論であると考えられおり、固定点での性質は質量異常次元により支配されている。質量異常次元を求めるには種々の方法があるが、平成26年度は、フェルミオン行列の固有値分布から異常異次元を決定する研究を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
アジョイント表現のフェルミオンを2つ持つSU(N)ゲージ理論のラージN極限での研究は順調に進んでおり、質量異常次元の研究に関する成果を平成27年度中に論文として発表する予定である。
アジョイントフェルミオンを1つ持つ理論は、閉じ込め(コンファイニング)理論であると考えられているが、いまだにはっきりとした結論は出ていない。フェルミオン数が2の場合に開発したフェルミオン行列の固有値分布からの解析手法を適用し、研究を進めてゆく。
|
Research Products
(8 results)