2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400253
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
北澤 敬章 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (20271158)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 弦理論 / コンパクト化 / 超対称性の破れ / 宇宙背景輻射 |
Outline of Annual Research Achievements |
時空10次元の理論である超弦理論の余分な6次元空間は現在の実験で観測できない程度に有限体積でかつ小さくなっていなければならない。これを余分な6次元空間の「コンパクト化」という。さらに、その小さな有限6次元空間の体積や形状が時間変化しないように固定されていなければならない。これを「コンパクト空間の安定化」という。「コンパクト空間の安定化」が達成されていないと宇宙観測と矛盾する重力に似た多種の力が存在してしまうことになる。「コンパクト空間の安定化」について、特に超対称性のないDブレーンの配位によってそれを達成する可能性を追求した。磁気を帯びたDブレーン、および、複数のブレーンの間の引力と斥力のバランスの組み合わせによってそれを達成することを具体的な模型を構成して提案した。
ある枠組みでの超対称性のないDブレーンの模型("brane supersymmetry breaking" によって超対称性が破れた模型)における、宇宙のインフレーションの始まりの現象についての予言を正確に行い、WMAP9 や PLANCK 実験のデータと比較して超対称性のないDブレーンの模型の可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「コンパクト空間の安定化」を完全に実現した模型を構成することには成功していないが、それを部分的に達成する具体的な模型を提案し、さらに進むべき方向を提案することができたため。
宇宙のごく初期に超弦理論が関与する現象が現れていた可能性を実験データから示唆することについて、相当程度に深く追求できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究によって、「コンパクト空間の安定化」を完全に実現した模型を構成することは非常に難しく、この問題については慌てずに一歩一歩着実に進む必要があることを教訓として得た。特に、超対称性のない状況でのDブレーンの物理が重要であるが、これについてはほとんど未知であり、これから明らかにすべきことが多い。そこで、見通しのよい簡単な系を構成して、超対称性のない状況でのDブレーンの物理を明らかにしつつ、その物理を利用した「コンパクト空間の安定化」の機構を提案する。
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Research Products
(4 results)