2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400260
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
江澤 潤一 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 客員研究員 (90133925)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | トポロジカル励起 / 場の量子論 / ソリトン / スカーミオン / 対称性 / 量子ホール系 / ゴールドストーン・モード / コヒーレント現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主題は、「対称性に保護されたトポロジカル荷電とソリトン励起」の研究である。対称性とトポロジーは共に場の理論の基本的概念である。近年提出され注目を浴びているのは、対称性に保護されたトポロジカル相という概念である。ミラー対称性によって保護されたトポロジカル荷電をもつ平面絶縁体を考える。この平面の右半分に磁場をかけると、右半分領域ではミラー対称性がなくなるため、トポロジカル荷電が定義されなくなる。そのため、境界に1次元ギャプレス状態(紐)が出現する。この紐は、トポロジカルに保護されているので、トポロジカル励起と見做せる。次に、左半分に無限小の磁場をかけると、ミラー対称性が無限小だけ破れるが、紐は安定に存在している。磁場を変化させたときの、磁場が紐に及ぼす影響を解析した。
次の課題として、私は非可換空間上の物理現象の解析のため、二層量子ホ ール効果の研究を長年に渡って遂行してきた。昨年度に引き続き、二層の電子のスピンが傾斜して反強磁性結合する特有の相に表れるゴールドストーン ・モードの関与する物理現象の解析を行った。線形分散をもつゴールドストーン・モードは、サンプル全体に渡ってコヒーレントな現象を実現する。占有率がν=2のとき、スピン超流が流れる、という予言を既に行っている。このスピン超流の検出方法を探求した。スピン偏極したSTM検索針を用いて電流の流れやすさで検出可能か考察している最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は、対称性に保護されたトポロジカル荷電とソリトン励起の理論の構築である。本年度の研究により、具体例が見つかったと考えている。しかし、より詳しい定量的な議論を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ミラー対称性によって保護されたトポロジカル荷電をもつ平面絶縁体に出現するトポロジカル紐への磁場の影響を本年度は解析したが、より定量的に研究を進め論文に纏める。更に、類似のギャプレス境界線上に現れるトポロジカル紐を探求する。これらの研究は2次元に限定されているが、3次元への拡張も考察する。具体的には、2次トポロジカル絶縁体である。この系では、境界状態である2次元面にはギャプレス状態は出現せず、境界の境界である1次元にトポロジカルに保護された1次元ギャプレス状態(紐)が出現する。このような系において「対称性に保護されたトポロジカル荷電とソリトン励起」を考察する。
二層量子ホ ール系におけるスピン超流の研究も続行する。スピン超流の存在の具体的な検出方法を探求する。
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Causes of Carryover |
(理由)計画的に使用したが、最後に端数が出てしまった。 (使用計画)来年度の消耗品に繰り込んで使用予定である。
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