2015 Fiscal Year Research-status Report
微視的粒子回転子模型を用いたハイパー核の集団運動の研究
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26400263
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩野 浩一 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20335293)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハイパー核 / 集団励起 / 平均場理論 / 生成座標法 / 電磁遷移強度 / 不純物効果 / 重イオン核融合反応 / 結合チャンネル法 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度開発した微視的粒子回転子模型を更に発展させ、より精密な核子-ハイペロン相互作用が扱えるように模型を改良した。この相互作用の高次項には有限レンジの効果及びテンソル力の効果が含まれる。実験データの再現性に関してはこれまでの簡単な相互作用による計算と同程度のものが得られたが、芯核の励起状態にΛ粒子が結合してできるスピン2重項のエネルギー差が相互作用の高次項に敏感であることを明らかにした。とりわけ、テンソル相互作用のために、13ΛC 核における 1/2- 状態と 3/2- 状態のエネルギー差が縮まり、さらに、 3/2+ 状態と 5/2+ 状態のエネルギー差が広がることを明らかにした。
また、平均場近似を基本にしてハイパー核の励起状態を記述する別の方法である生成座標法を 21ΛNe ハイパー核に適用した。微視的粒子回転子模型との比較を行い、どちらの方法も定性的に同じ結果を導くことを確認した。生成座標法は微視的粒子回転子模型と相補的な関係にあり、この方法を用いるとハイパー核の集団励起に対する直観的な理解が得られることを指摘した。
さらに、微視的粒子回転子模型において計算される芯核の集団励起状態を重イオン核融合反応の計算のインプットとして用いる、半微視的結合チャンネル法を開発した。この計算ではこれまで取り入れられていない集団振動励起の非調和性を考慮することができる。この方法を 58Ni+58Ni 系の核融合反応に適用し、方法の有効性を確かめるとともに、振動励起の非調和性を考慮することにより実験データの再現性が増すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた相互作用の精密化をほぼ終えることができた。さらに、当初計画していなかった、ハイパー核に生成座標法を直接適用する方法の開発、及び、微視的粒子回転子模型で生成される芯核の励起状態を原子核反応に適用する半微視的結合チャンネル法の開発も行い、研究のスコープを広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果で微視的粒子回転子模型に高次項を含む相互作用を用いることができるようになり、同じ相互作用を用いて微視的粒子回転子模型と生成座標法を比べることができるようになった。励起エネルギーの比較は今年度行ったが、波動関数の比較を次年度行っていきたい。また、八重極振動が重要となる系への半微視的結合チャンネル法の拡張も行う予定である。
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Research Products
(8 results)