2014 Fiscal Year Research-status Report
高マッハ数衝撃波の多次元構造中における大振幅電磁場擾乱励起と電子加速機構の解明
Project/Area Number |
26400266
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松本 洋介 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20397475)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 無衝突衝撃波 / 磁気リコネクション / 電子加速 / 磁気乱流 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙から飛来する非熱的高エネルギー粒子の起源として、無衝突衝撃波が有力な候補として考えられている。しかし、X 線観測等でその存在が明らかになっている相対論的電子の加速メカニズムの解明は、宇宙物理学のみならず、プラズマ物理学における基本的かつ重要な問題として残されている。本研究は、最新の超並列スーパーコンピュータを用いた2 次元及び3 次元電磁プラズマ粒子シミュレーションを実施し、多次元高マッハ数衝撃波構造中での電子の前段階加速機構~散乱体としての電磁場励起機構~被加速粒子の衝撃波統計加速(1次フェルミ加速)までを自己無撞着なシステムで明らかにすることを目的とする。 本年度は、スーパコンピュータ「京」を用いて、2次元PICシミュレーションの大規模計算を行った。特に、磁場がシミュレーション面内にある場合の垂直衝撃波における、衝撃波面近傍の構造やそれに伴う電子加速メカニズムを明らかにすることを目指した。その結果、反射イオンと上流イオンとの相互作用でイオン・ワイベル不安定が励起され、衝撃波面近傍では強い磁気乱流構造になることを示した。磁気乱流中では磁場の繋ぎ替え現象-磁気リコネクション-があちらこちらで発生し、このリコネクション領域と何度も相互作用することで上流電子の一部は相対論的エネルギーまで加速されることが明らかになった。 本成果は、衝撃波中において磁気リコネクションが本質的に重要であり、また、それに伴った電子の統計加速が起きることを初めて示した結果となり、相対論的電子加速メカニズムへの理解の大きな進展をもたらした結果として、米国科学誌Scienceに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2次元PICシミュレーションの大規模計算を行うことによって、イオンワイベル不安定を介した磁気乱流発生についての理解は当初の計画通りであった。それに加え、磁気乱流中で磁気リコネクションが頻発していることが明らかになり、無衝突衝撃波でのエネルギー散逸過程に磁気リコネクションが本質的に重要であることが明らかになったのは、予想外であった。また、それに伴って相対論的電子の新しい加速メカニズムを提唱できたため、本年度の計画の達成度としては、予想以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では、粒子加速に重要なパラメタの一つである衝撃波角を90度(完全垂直衝撃波)で固定していたため、加速の効率という観点では議論できなかった。今後は、衝撃波角に着目して、磁気乱流の強度、被加速電子の最高エネルギーに対する依存性を明らかにする予定である。また、平行して3次元PICシミュレーションを進める。2次元計算結果を踏まえてパラメタを選び、これまで2次元シミュレーションでは制限されてきた効果を全て含めた、より効率的加速メカニズムを得ることを目指して、研究を進める。
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Research Products
(3 results)