2014 Fiscal Year Research-status Report
高運動量二次粒子ビームのための粒子識別検出器の開発
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26400289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
成木 恵 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00415259)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 実験核物理 / ハドロン / バリオン / 検出器 / ハドロン分光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
J-PARCハドロン施設では高運動量二次粒子ビームラインの建設が計画されている。このビームラインは粒子を弁別する機能を持たないため、本研究では、二次粒子ビームに含まれるK中間子を同定する検出器の開発を行い、K-p反応によって生成されるΞバリオンあるいはストレンジネスを含むエキゾチックハドロンの分光を可能にする。Ξバリオンはストレンジクォークを2つ含むクォーク3体の束縛状態であるため、生成断面積が小さく励起状態については未だよく分かっていない。J-PARCで供給される大強度ビームを用いることで,励起状態の系統的な研究が可能となる。 現在当該施設では2GeV/cまでのK中間子ビームが利用可能である。しかし、より質量の大きなΞバリオンを生成するためには、3GeV/cから5GeV/cまでの運動量を持つビームが必要となる。この研究により、高運動量K中間子ビームを実現するための技術基盤を確立する。 今年度は検出器の基本的な設計を行った。3~5GeV/cの運動量を持つ粒子に対して、チェレンコフ光発生のための輻射体としてエアロジェルを用い、発生したチェレンコフ光をMPPCで読み出すという基本設計が決まった。生成されるチェレンコフリングの径が粒子の質量によって異なることを利用して、π中間子、K中間子、陽子を能動的に式ベルするための差分型チェレンコフ検出器とする。 また、同じビームラインを使用する実験グループと研究打合せを持ち、協力して開発に当たることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基本的な設計が出来たという点ではほぼ当初の目標を達成している。光子検出素子などの基本性能を確認する予定であったが、次年度早々に性能が大幅に向上した次世代の素子が販売可能になるという状況があったため、検出器単体の性能評価については次年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
J-PARCハドロン実験施設は事故によって2年間中断したが、平成27年4月に無事再開した。本研究で開発する検出器は、現在建設中の高運動量ビームラインで使用予定であるが、建設スケジュールは当初より遅れる見込みである。従って、基本的な設計、性能評価は当初通り進め、最終的な検出素子の選定は、施設建設に合わせて入手可能な最高性能のものを検討の上判断する予定である。また、同じビームラインを使用する他の実験グループと議論を進めており、技術的に共有できる部分が大きいことが判明したため、今後も協力体制で開発に当たる。
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Causes of Carryover |
本研究で開発する検出器を使用するJ-PARCハドロン施設が、事故の影響により2年間稼働を停止したため、検出器使用予定が延びたこと、また、使用予定の光子検出器について、次年度に性能を向上させた次世代検出器が販売開始されるという事情があり、より性能の高い検出器を開発する目的で、物品購入を次年度にすることとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
光子検出器のMPPCおよびPMTを購入し性能を評価する。
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Research Products
(8 results)