2015 Fiscal Year Research-status Report
中重核領域の中性子過剰核の磁気モーメント測定と希土類不純物の超微細場の研究
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26400290
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷垣 実 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (90314294)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 検出器開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も京都大学および東北大のオンライン質量分析器の利用ができないため、主に検出器系の開発を進めた。特に摂動角相関測定のために必要な検出器系について、昨年度からの繰越と合わせて時間分解能的に劣るもののエネルギー分解能がすぐれているCdZnTe検出器を整備し、検出器の基本特性を評価した。測定対象となる希土類領域の核種の励起準位からのγ線を識別するのに十分なエネルギー分解能を達成したが、時間分解能では特に時間微分型摂動角相関のために必要な分解能の達成は難しく、現状では時間積分型摂動角相関による測定を実施することとなる見込みである。また、検出器からのタイミング信号の伝送について、伝送系の周波数特性による劣化が見られた。これを最小限に抑えるために、検出器のタイミング信号に高速のバッファを入れる、伝送ケーブルのインピーダンスを見直すなどの改善作業を実施した。 また、理化学研究所で開催された低速停止RIビームに関する研究会に参加し、本研究テーマに密接に関連するRIビーム利用に関する動向を調査した。本課題の遂行で問題となっている利用予定施設が稼動できないことへの対処として、理化学研究所の低速RIビーム施設の調査を行い、研究遂行の可能性を検討した。また、2016年3月に東北学院大で行われた物理学会で開催された低速停止RIビームに関する研究グループの会合に出席、会合に向けて行われた東北大オンライン質量分析器他の施設の現状説明と見学会に参加し、現状の調査や今後の運用の見通しなどの説明を受けるとともに、利用者からの整備要求などを担当者に伝え検討を進めてもらうこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の遅れの理由は、課題申請時に利用を計画していた京大と東北大の施設の利用ができないことにある。京都大学の施設は研究対象となる不安定な原子核の生成に必要な原子炉が休止中である。これは規制官庁である原子力規制庁による再稼働のための審査が想定以上に遅れているためであり、利用者側としては審査が終わるのを待つしか方法がない。また、測定施設であるトレーサ棟も施設改修のためRI利用ができなくなっており、設備が利用不可なことで研究遂行が困難であった。東北大の施設においてもマシンタイムの短縮と設備の整備担当者の異動により利用が極めて困難な状況となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
京大炉の再稼動については、各所の報道その他にあるとおり、審査がほぼ終了となったため、本年度中の稼動再開が見込めることとなった。また、測定で利用するRI利用施設のトレーサ棟も工事が完了し、昨年度末にRI利用の許可が下りた。これまでに検出器系の整備が完了しているので、原子炉の稼動再開で直ちに研究に必要な測定を開始できる状態になっていることから、稼動次第直ちに測定を開始する。東北大学の設備については施設における今後の設備の運用方針についての判断待ちとなるが、原子炉が稼動することで研究に必要な測定は実施できるので本課題における研究への支障はない。
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Causes of Carryover |
再稼働のための審査の遅れで京大原子炉の再稼働が遅れたことにより、京大原子炉におけるオンライン質量分析器を利用した実験ができなかったこと、および東北大のオンライン質量分析器の利用が困難な状況にあることで、実験遂行に関連する経費・旅費の執行が行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
京大炉の再稼動に向けた審査が進んで28年度内の稼動の見込みとなったため、本年度実施できなかった実験を順次実施できる見込みであることから、この実験の経費として使用する予定である。
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