2014 Fiscal Year Research-status Report
FFAG加速質量分析法の確立と12C+α天体核反応研究への応用
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26400294
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池田 伸夫 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70193208)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 粒子測定技術 / FFAG加速器 / 天体核反応 / 不安定核分離収集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、九州大学FFAG加速器を用いたインビームFFAG加速による核反応生成核種の質量分離法を開発し、特定粒子を高効率・高純度で分析収集する新たな技術を確立することを目標とする。本手法の有用性の確認および天体核反応12C(α,γ)16OのE1遷移強度の最終決定のため、本手法を16Nのベータ遅延アルファ連続スペクトル測定に適用する予定である。このインビームFFAG加速は加速器としては桁外れに大きな角度アクセプタンス、エネルギーアクセプタンスを有するFFAG加速器をもってはじめて可能となる技術である。 本研究実施の初年度である平成26年度においては、当初の計画通り九州大学加速器・ビーム応用科学センターにおいて、入射サイクロトロンビームを用いた2次ビーム生成系の整備およびFFAGシンクロトロンによる16Nビーム加速への対応を進め、16NビームのFFAG加速テストを実施できるよう準備を整えた。具体的には、16Nビームを15N(d,p)16N反応により生成するために15N標的を設置する標的箱を設計、製作し、FFAGシンクロトロンへの入射ラインに設置した。設置位置については、FFAG加速器本来の機能である陽子加速と両立し、かつ16NのFFAGシンクロトロンへの入射に適するよう、イオン光学計算によりその最適位置を決定した。またFFAGシンクロトロンでの16Nビーム加速のため、RF広帯域化に向けた検討、準備を進めた。広帯域化に問題が生じた場合に備え、高調波加速の検討も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究初年度として目標とした、2次ビーム生成系の整備およびFFAGシンクロトロンによる16Nビーム加速への対応について、おおむね滞りなく達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
FFAGシンクロトロンによる16Nビームの加速実験を進める。FFAGシンクロトロン自身は水平方向の広いアクセプタンスが特長であるが、その特長を活かすには、広がったビームをいかに損失なくFFAGシンクロトロンに入射するかが本手法における技術的な鍵の1つであり、広がったビームの入射の最適化が重要な課題となる。 16Nは崩壊に際し69%の確率で6.13 MeVのガンマ線を放出するので、1次ビームをパルス化し、ビームOFF時に6.13 MeVガンマ線を観測することによりFFAGシンクロトロン出口での16Nビーム量の測定が可能である。しかし、加速中の16Nビーム強度の測定は困難であり、16N加速の最適化に不安が残る。FFAG加速器による不安定核加速は初めての試みであり、その最適化の手法を模索し確立することがこの研究の大きな課題である。
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