2014 Fiscal Year Research-status Report
加速ビームを使った超伝導加速空洞の精密アライメント技術開発
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26400300
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
早野 仁司 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (00173055)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ワイヤー高調波モード励起 / ビーズ摂動法 / 高調波モードシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、極低温に冷却された超伝導加速空洞の姿勢位置情報を通過させる電子ビームにより誘起される高調波から算出する研究である。実現には、超伝導加速空洞の高調波モードの詳細な研究が必要不可欠であり、高調波モードの局在場所、偏極角度、インピーダンスを系統的に調べ、ビーム誘起信号からその姿勢位置情報を簡便に引き出す事を目的としている。モデル空洞を使用して、計算あるいは実際の装着状態と同様な境界条件を実現し、ビーズ摂動法による電場分布、磁場分布、電気的中心を求める研究はモードの性質を詳細に知る上で不可欠であり、空洞を通して細い金属ワイヤーを張り、そこにビームを模擬した高電圧単パルス信号を通して、高調波モードを実際に起こさせ、電気的中心を精度よく求める研究も不可欠である。平成26年度は、9セル超伝導モデル空洞を使用したビーズ摂動測定装置を構築し、この装置を使用して、ビーズ摂動法により高調波モードの特性を詳細に取得する研究を開始した。次に、おなじセットアップで、細い金属ワイヤーを張り、電気的に浮かせた上で、1ns以下パルス幅の高電圧単パルス信号を通電し、高調波ピックアップから、目的のモードの信号を受信する方法も開発した。高調波モード信号の受信のためダウンコンバート式検出器の高感度のものを開発した。ワイヤーを精密に動かしてやることで、ビームスィープを再現させ、高調波信号とワイヤー位置との関係を詳細に調べる研究に取り掛かっている。また、実験と並行して、電磁場シミュレーターソフトウェアにより、高調波モードを計算機上で再現し、測定結果と詳細に比較する研究も行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル空洞を使用した詳細研究のため、ビーズ摂動法により電場分布、磁場分布、電気的中心を求める研究を行えるところまで機器を整備した。また、空洞を通して細い金属ワイヤーを張り、そこにビームを模擬した高電圧単パルス信号を通して、高調波モードを実際に起こさせ、電気的中心を精度よく求める研究も行えるように機器を整備した。 並行して、高調波モードシミュレーション(HFSSおよびCST)を行うための計算上のモデルを生成し、実際に計算が行えるように整備できている。
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Strategy for Future Research Activity |
超伝導加速空洞を実際に冷却してビーム加速試験を行う予定は平成28年度に延期されたので、ビームを使用した研究はそれまで中断し、平成27年度はこれまでに整備されてきたビーズ摂動測定機器とワイヤーパルス高調波励起機器とを使用した高調波モードの電気的中心測定精度の研究を行う。空洞セル内部に誘起する高調波モードはよく理解できているので、ビームパイプに局在するモードについて、その局在場所や電気的中心、および他のアンテナ導体による境界条件による影響を詳細に調べる。
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Causes of Carryover |
査読付きジャーナルに本研究を投稿する準備をしていて第1回目の英文校閲を受けたが、その後研究の重要な部分について計算手法に不足な部分があり、その計算を追求していたところ、年度末を迎えてしまった。したがって予定していた第2回目の英文校閲および論文投稿料は、次年度へ繰り越しとなってしまったため、繰り越しが発生したものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第2回目の英文校閲および論文投稿料に使用予定である。
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