2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
羽田野 剛司 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20501662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉田 渉 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20372287)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 量子ポイントコンタクト / 2重及び3重量子井戸 / 数値繰り込み群法 / 核スピン / 超微細相互作用 / 量子揺らぎ / 電子相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイブリッド低次元系における量子揺らぎによるトンネル効果および電子間のクーロン相互作用(電子相関)を明らかにするため、本年度は縦結合2重量子ポイントコンタクトの作製および低電子密度領域の量子ポイントコンタクトの理論解析を進めた。また、低次元系における超微細相互作用による電子スピンへの影響を明らかにするため、量子井戸内の核スピンの特性についても研究を進めるとともに、3層系量子ホール効果の電気伝導特性の研究も行った。以下にその概要を示す。 (1) 2重量子ポイントコンタクトデバイス作製を行った。井戸間の距離の異なる2重量子井戸構造基板や幅の広い量子井戸構造基板を用いて作製を行い、1.5Kの低温でゲート特性を確認した。これまで作製に用いたものと異なる基板のため、オーミックコンタクトなどの条件が異なる。したがって、その作製条件の最適化も行った。 (2) 低電子密度領域の量子ポイントコンタクトは、ポイントコンタクト近傍で強い電子相関が働いていると考えられる。この状況を理論解析するためのモデルの作成を行い、電気伝導度の計算を行うための数値計算プログラムを、数値繰り込み群法に基づき作成した。これにより、現時点では3電子サイトまで電子間相互作用の働く場合の計算が可能となった。 (3) 半導体内の核スピンは超微細微細相互作用により電子スピンに影響を与えるため、単一量子井戸及び2重量子井戸構造における核スピンの特性について研究を行った。特に、核スピン拡散について井戸内と井戸間では拡散係数が異なることを見出した。 () より自由度の高い3重量子井戸構造における層間の量子揺らぎおよび電子相関を明らかにするために、3層系ホールバーデバイスを作製し、その基礎的な電気伝導特性を測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 複数の2重量子井戸構造基板及び幅広の量子井戸構造基板を用いて、2重量子ポイントコンタクトを作製した。井戸間の距離の異なる2重量子井戸構造や幅の広い量子井戸構造のデバイス作製条件を明らかにし、温度1.5Kにおいて結合量子ポイントコンタクトのゲート電圧動作を確認した。 (2) 量子ポイントコンタクトの観測を受け、それに対応できるよう、数値計算ソフトウェアの開発を行っており、そちらはほぼ予定通りに進んでいる。 (3) 低次元系電子と超微細相互作用する核スピンの特性を、2重量子井戸構造及びnuclear electric resonanceを用いて明らかにした。 (4) 3層系量子ホール効果における電気伝導特性を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)作製した2重量子ポイントコンタクトを希釈冷凍機を用いて100mK以下の極低温に冷却し、2重量子ポイントコンタクトの電気伝導特性を測定すると同時に、電気伝導特性に対する量子揺らぎ及び電子相関による効果を明らかにする。また、量子ドットと量子ポイントコンタクトを結合させた0 次元‐1 次元結合系デバイスの作製を行う。 (2) 理論と実験との間で綿密な議論を行い、今後の伝導度の測定結果をうけ、実際にどのような現象が起こっているのかを明らかにしていく。 (3) 3重井戸構造を用いて相関の量子揺らぎおよび電子相関を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新しい基板を発注する予定であったが、その基板の条件が正確に決まらなった。そのため基板を発注しなかった。また、研究の進展との兼ね合いで、国際学会に参加できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
作製を行った2重量子ポイントコンタクトの特性を参考にし、新しい2重量子井戸構造基板を購入する。また、得られた研究成果を国際学会で発表する予定である。
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