2016 Fiscal Year Annual Research Report
Electronic state control of highly-crystalline organic semiconductor thin films by carrier injection: toward developing novel electronic functions
Project/Area Number |
26400315
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 久暁 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50362273)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機トランジスタ / 導電性高分子 / キャリアドーピング / 有機発光素子 / 電子スピン共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ドナー・アクセプタ(DA)型骨格を持つ高分子材料DPPT-TT及びDPP-TVTを用いて有機トランジスタ(TFT)を作製し、電子スピン共鳴(ESR)法により素子駆動を担うキャリア(ポーラロン)のダイナミクスをミクロに明らかにした。 DA型高分子は、PBTTTなどの従来の高移動度高分子材料に比べ結晶性が低いにもかかわらず高い移動度を示すことが特長であり、その起源が広く議論されている。特に、DA型高分子の主鎖は剛直であり、薄膜中の微小結晶ドメインを橋渡しすることで高移動度をもたらすと指摘されている。一方で、キャリアが実際にドメイン間を高効率に移動している証拠は得られていなかった。そこで、ESR線幅の尖鋭化効果からキャリア運動をミクロに評価できることを用い、上記DA型高分子薄膜のTFTにおけるキャリアのドメイン内、及びドメイン間運動を低温まで評価した。Edge-on配向した多結晶薄膜の場合、これらのキャリア運動は、磁場印加方向により識別される。その結果、4 K近傍の極低温においてもドメイン内運動が観測されると共に、ドメイン内/ドメイン間運動の活性化エネルギーがほぼ等しく、約10 meVと極めて低い値を示すことが分かった。これは、剛直な主鎖に沿った高いキャリア運動性を示す結果であると共に、主鎖に沿って配向の異なるドメインまでキャリアが移動できることを示している。従って、剛直な主鎖によるドメインの橋渡しが、実際にキャリア輸送を向上させることが実験的に明らかになった。 本年度はさらに、高分子を用いた高輝度有機発光素子(電気化学発光セル:LEC)における正・負キャリアのESR観測を行うと共に、有機分子材料におけるスピン-軌道相互作用とスピン緩和時間の相関性を溶液のESR測定から求まるg値、線幅、及び信号強度の飽和特性から直接評価する手法をケンブリッジ大学のグループと共同で開発した。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] ESR Observations of Charge Carrier Dynamics2017
Author(s)
S. Kawamura, A. Wakamatsu, H. Tanaka, and T. Takenobu
Organizer
The 6th International Symposium on Organic and Inorganic Electronic Materials and Related Nanotechnologies
Place of Presentation
Fukui
Year and Date
2017-06-18 – 2017-06-21
Int'l Joint Research
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