2014 Fiscal Year Research-status Report
超大規模超並列電子状態理論による100ナノスケール系デバイス研究
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26400318
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
星 健夫 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電子状態計算 / オーダーN法 / 超並列計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大局的目的は、自作の大規模電子状態計算コードELSES(http://www.elses.jp)を理論拡張し、 100ナノスケール系でのデバイス研究に発展させることにある。ELSESは、独自のオーダーN型数理アルゴリズムを利用することで、これまでに「京」コンピュータを用いてl 億原子までの計算が達成されている。1億原子はシリコン単結晶の126nm立方領域に相当する。これを基盤として、100ナノスケール実デバイス系での計算が可能となるように、ファンデアワールス力や量子電気伝導計算など、理論拡張を行う。特に本年度は、(a)空間的に不均一な系に対する効率的超並列計算、(b)効率的なモデル化ファンデアワールス力の導出、にとりくんだ。(a)ポリマー系などのダイナミクスを扱う場合、空間的に不均一であり、さらに動的にも変化していく。このような系では、通常の結晶計算でみられるような空間分割での超並列計算は不向きである。超並列計算環境での大規模計算の第一歩として、「ワンセル法」という名称で、一部の計算をN^2 (Nの2 乗)ルーチンをとすることで、実用的な「準最適」計算スキームが達成された。テスト計算としては、スパコン上の1万コア程度の計算機環境に対して、有機分子10万原子系の計算を行い、高い並列効率を得た。(b)有機分子凝集体などを扱うには、モデル化されたファンデアワールス力が必要となる。数種類の試みがあるが、本目的に適した理論として、第一原理計算(GGAなど)などと併用されるファンデアワールスポテンシャルを用いることにした。本項目は次年度に引き継がれる。次年度研究としては、波束ダイナミクスを中心とした量子電気伝導研究に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
空間的に不均一な系に対する効率的超並列計算は、当初は困難であると予想していたが、「ワンセル法」という名称で、一部の計算をN^2 (Nの2 乗)ルーチンをとすることで、実用的な「準最適」計算スキームが達成された。N^2 (Nの2 乗)ルーチンを含むということは、Nを∞にする極限ではボトルネックになる可能性を含むものであり、厳密なオーダーN法ではなくなる。しかしながら、対象となるスケール(10万原子系)でも該当部分はボトルネックになっておらず、また並列性能に優れていたため、実用的な手法となった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度研究としては、波束ダイナミクスを中心とした量子電気伝導研究に取り組む。波束ダイナミクスは時間依存シュレーディンガー型方程式を解くことに帰着され、これまでとは異なる数理手法が必要となるため、これにとりくむ。
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Causes of Carryover |
平成27年3月に予定されていた出張(科学技術ソフト研究センター研究会,東京)が4月に延期されたため、予定していた出張費用(研究代表者および学生3名分)25万円を繰り越すこととなった。また、平成26年4月には知らなかったが、平成27年度に大きな国際会議(北京でのThe International Congress on Industrial and Applied Mathematics(ICIAM),スペインでのPsi-K conference)が開催されることをしり、成果発表のより大きな効果が期待できるため、そのための旅費(約49万円)を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月11日の科学技術ソフト研究センター研究会(東京)への参加(研究代表者および学生3名分)で約25万円を使用する。また、国際会議The International Congress on Industrial and Applied Mathematics(ICIAM,8月10-12日), Psi-K conference (スペイン,9月6-10日)への出張費用(約49万円)として使用する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Novel linear algebraic theory and one-hundred-million-atom quantum material simulations on the K computer2014
Author(s)
Takeo Hoshi, Tomohiro Sogabe, Takafumi Miyatad, Dongjin Lee, Shao-Liang Zhang, Hiroto Imachi, Yoshifumi Kawai, Yohei Akiyama, Keita Yamazaki, Seiya Yokoyama
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Journal Title
PoS
Volume: 202
Pages: 065, 13.pp
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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