2015 Fiscal Year Research-status Report
超大規模超並列電子状態理論による100ナノスケール系デバイス研究
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26400318
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
星 健夫 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80272384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 100ナノメートル電子状態計算 / 量子電気伝導 / フレキシブルデバイス材料 / 有機高分子集合体 / 量子波束ダイナミクス / オーダーN法 / 超並列計算 / 京コンピュータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大局的目的は、自作の大規模電子状態計算コードELSES(http://www.elses.jp)を理論拡張し、 100ナノスケール系でのデバイス研究に発展させることにある。ELSESは、独自のオーダーN型数理アルゴリズムを利用することで、京コンピュータを用いてl 億原子までの計算が達成されている。研究の発展として、有機高分子集合体伝導計算を目的として、量子波束ダイナミクス法の開発をスタートさせた。当該物質は、次世代IoT製品(ディスプレー・センサー・電池など)むけのフレキシブル(ウェアラブル)デバイスの基盤である。理論基盤としては、バリスティック伝導・非バリスティク伝導の2種の伝導機構の双方が必要であり、量子波束ダイナミクス法が必須となる。従来は計算コストの点から小規模系(または小規模分子系)しか扱えなかったが、我々は独自の線形代数的数理手法を用いて、100nmスケールにいたる大規模計算手法に挑戦した。予備的結果として、共役高分子鎖および共役高分子集合体計算を達成し、前者については構造間(直線型・ジグザグ型)のモビリティ値の大小関係について、実験と符号する結果を得た。我々の手法は「オンリーワン」型の計算手法として大きく注目され、高分子学会主催の記者発表(2015年11月)、ギリシャでの計算化学国際会議(2016年3月)での招待講演が行われた(論文アクセプト)。さらに、大規模計算の基盤的数理手法について、日本応用数理学会2015年研究部会連合発表会優秀講演賞(2015年6月)の受賞、複合型高速計算ソルバーの開発(論文出版)、第一原理伝導計算コードへの実装(論文出版)、も行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度からの質的発展として、大規模量子波束ダイナミクス法の開発に着手し、数理的基礎理論開発・プログラム開発・有機高分子系への適用のすべてに成功した。我々の理論手法は「オンリーワン」型として大きく注目されており、応用数理学会での受賞・高分子学会主催の記者会見・量子化学系国際会議での招待講演など、多分野へと波及している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発された100ナノメートル電子状態計算・電気伝導計算コードを活用し、実験系研究者と連携して、現実系の解明にあたる。また、京コンピュータを活用しての産学連携研究に取組む。
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Causes of Carryover |
当初予定にはなかった、ドイツで2016年6月に開催される国際会議「ISC High Performance 2016 」(6月19-23日)に招待講演を依頼されたが旅費補助がなかった。研究成果発表としては非常にインパクトが大きいものなので、この旅費(40万円)を次年度使用とした。計算科学上の発展が当初予定以上に大きかったため、当初予定にはなかった国際会議SC16(http://sc16.supercomputing.org/)での発表を行う予定にしたため、この旅費(40万円)を次年度使用とした。論文投稿費(オープンアクセス費用含む)30万円を計上していたが、H27中にアクセプトされなかったため、次年度使用とした。3月に予定していた研究打ち合わせ(東大,2回)が次年度に延期になったため、旅費(10万円)を次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
可視化システム構築用コンピュータ20万円、データ解析用HDD10万円、国際会議「ISC High Performance 2016 」(6月19-23日,招待講演,ドイツ), 「SC16」(11月13-16日,米国)への参加で旅費80万円、 論文投稿費(オープンアクセス費用含む)2本分50万円、研究打ち合わせなどの国内旅費27万円、を計上する。
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Research Products
(23 results)