2015 Fiscal Year Research-status Report
半導体量子ドット集合系における超短パルス超蛍光の発生メカニズム
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26400320
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
宮島 顕祐 東京理科大学, 理学部, 講師 (20397764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 陽 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (10508807)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超蛍光 / コヒーレンス現象 / 半導体量子ドット / 励起子分子 / TEM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、半導体量子ドット集合系での超蛍光において「超高速コヒーレンス生成」に起因する量子ドット特有の発生メカニズムを探求している。 本年度は、昨年度に続き、用いる試料であるNaCl単結晶中のCuCl量子ドット作製において、これまでより精密なサイズと濃度制御を目指して様々な作製条件を試行した。アニール前の試料処理について工夫を行い、これまでより再現性のある試料作製を行うことができるようになった。 また、TEMによる量子ドット観察を行った。現在、電子線回折像からNaCl単結晶と内部のCuCl量子ドットの格子面の関係性を捉えることを試みている。これまで、NaClとCuClの両方の回折像を明確に現れるデータは得られていない。TEM観察のための準備試料の作製について試行している。これらをより精密に行うことで、また超蛍光発生に重要な要素であるドット間距離について明らかにすることができるようになると考えられる。 光学測定では、自己位相変調を利用したスペクトル幅を連続的に変化されるユニットを作製する予定であったが、固体(ガラスやフッ化カルシウムなど)では時間的に安定した自己位相変調を起こすことが難しいことが分かった。その代り、現在、超蛍光の特徴の一つである量子揺らぎを捉える実験を行っている。そのためには1ショットごとの発光の観測が必要であり、現在、その発光スペクトルを観測することを試みている。 理論計算では、不均一幅を持つ量子ドット集合系が、その広い不均一幅を利用して超短パルスの超蛍光を発生させ得ることを報告した。これは半導体量子ドット集合系からの超蛍光発生について、非常に大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超蛍光を発生される量子ドット集合体は作製できるようになり、研究は大きく進むと期待される。スペクトル幅可変ユニットについては、自己位相変調を安定して出せる方法を確立する必要があり、達成が難しいと考えられる。 一方で、1ショットでの超蛍光スペクトル測定を行えるようになった。これは、非常に高強度の発光が発生していることに起因する。そして、その発生機構について新しい面から考察できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、試料作製の課題である高密度かつ均一な量子ドット作製については、これまでの知見に基づき、改善を行っていく。試料評価はXRDによる母体結晶の結晶性評価、TEMによる量子ドットのサイズや形状・ドット密度の評価や母体結晶との格子面の配向の実験を行う。特に、TEMによる電子線回折像による解析を目指す。 光学測定では、超蛍光発生の本質である、「超蛍光発生の量子揺らぎ」の観測を行っていく。昨年度に実験系は構築している。様々な条件下で超蛍光を発生させ、そのスペクトル形状のショット揺らぎを捉えることで、超蛍光発生機構でのコヒーレンス形成の速さなどを解明していきたい。 さらに、共同研究者との理論研究で、量子ドットが空間的に分布している場合での超蛍光の発生機構について研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初の想定より光学素子の購入金額が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特に試料作製に関わる材料費を中心に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)