2014 Fiscal Year Research-status Report
電場によって誘起される表面・界面における超伝導の第一原理的研究
Project/Area Number |
26400325
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
濱田 幾太郎 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (80419465)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 有効遮蔽媒質法 / 密度汎関数摂動論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では電場誘起超伝導の微視的起源を解明することを最終的な目的とし、電圧印加した酸化物や層状物質の表面電子状態に加え、格子振動、電子格子相互作用の理論的研究を可能とする第一原理的計算手法の開発を主たる目的としている。有効遮蔽媒質法を本研究の基軸とし、密度汎関数摂動論と有効遮蔽媒質法と組み合わせた格子振動の手法の定式化とそのプログラミングが本研究の基盤となる。平成26年度は有効遮蔽媒質法の枠組みでの密度汎関数摂動論の定式化を行う予定であったが、有効遮蔽媒質法それ自体の改善が必要なことが分かり、手法の改善と計算の安定性の向上のためのプログラミングに多くの時間を費やした。その結果、表面・界面の電子状態計算と構造最適化が非常に安定して行えることになり、有効遮蔽媒質法の適用範囲が大きく広げることができた。一方で有効遮蔽媒質法の枠内での密度汎関数摂動論の定式化は開始しているが、実装できるレベルには至っていない。格子振動に先駆けて密度汎関数摂動論に基づく誘電関数の計算コードの開発を開始した。現在の実装は絶縁体に限定されているが、今後、計算手法とコードの金属系への拡張を行い、最終的には超伝導転移温度の計算の際に用いることを予定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の基軸となる有効遮蔽媒質法を用いた電子状態計算手法そのものを改善する必要が生じ、その問題を解決するために多くの時間を費やした。そのため密度汎関数摂動論の有効遮蔽媒質法への拡張とその第一原理計算プログラムへの実装までには至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
密度汎関数摂動論の有効遮蔽媒質法への拡張のための定式化とプログラムの実装を可能な限り早く遂行する。 プログラムの開発が終了した後には徹底的なテスト計算の後に応用計算を早急に開始する予定である。
|
Causes of Carryover |
平成26年度は有効遮蔽媒質法そのものの改善とそれに基づく電子状態計算プログラムの開発に多大な時間を費やした。そのため当初予定していたテスト計算と一部のプロダクション計算を行うことができないと判断し、大型計算機の使用料を支出しなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
予算は計算プログラムの開発とテスト計算、そしてプロダクション計算に必要な大型計算機の使用料に充てられる。
|