2016 Fiscal Year Annual Research Report
Cyclotron resonance study of Dirac electron state in topological insulator
Project/Area Number |
26400335
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大久保 晋 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 准教授 (80283901)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / サイクロトロン共鳴 / 高周波数 / 強磁場 / フェルミ面 / ディラック電子状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
トポロジカル絶縁体は、バルクはエネルギーギャップが開いていて絶縁体であるが、表面はギャップが閉じて金属状態が現れるという理論的に提案された新しい量子状態である。この奇妙な表面状態を持つため特殊なスピン偏極を持ちエネルギー散逸の無いスピン流を生み出せることなどから新概念の固体物質として大変注目されている。しかしながら現時点では角度分解光電子分光や走査型トンネル顕微鏡でその存在が示唆されているだけである。そこで、本研究では、トポロジカル絶縁体の表面におけるエネルギー分散をサイクロトロン共鳴の測定により直接的に観測することを目的として、第2世代のBi2Se3の単結晶試料のサイクロトロン共鳴を透過光法によりおこなった。表面電子数が少ないため、このサイクロトロン共鳴の検出には(1)バルクからの寄与を減らし表面からの寄与を大きくする、(2)通常のサイクロトロン共鳴の測定より高感度な測定が必要、(3)線形エネルギー分散を示すには広範囲な周波数磁場領域のサーベイが必要、といった困難がある。 初年度でバルクの寄与を減らすため薄膜化させた純良試料を20層積層させても十分な信号を得ることが出来なかったので、2年度以降、S/Nの向上を目指し、装置の改良を加えた。最終年度は、導入した伝送ロスを減らした短小化したクライオスタットに合わせたサイクロトロン共鳴装置の開発を行った。その結果、サブミリ波帯における透過光強度が従来のクライオスタットの20倍に向上した。これに合わせて、データ取得システムのS/Nの向上として高分解能かつ低ノイズな16bit A/D変換器を持つデジタルストレージオシロスコープの導入とそれにあわせたチューニングを行って、さらなる薄膜化を行った試料の測定を試みた結果、試料由来の信号と考えられるサイクロトロン共鳴を観測することに成功した。
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