2016 Fiscal Year Annual Research Report
Density matrix renormalization group study on quantum systems of multiple degrees of freedom
Project/Area Number |
26400344
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 尚和 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40302385)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 分数量子ホール状態 / グラフェン / バレー / 二次元量子スピン系 / フラストレーション / 磁化プラトー |
Outline of Annual Research Achievements |
単原子層物質であるグラフェンは、炭素原子が2つの三角副格子を構成するハニカム構造の二次元結晶であり、電子スピンの自由度に加えてバレー自由度が絡む多彩な電子状態が形成される多自由度二次元電子系の一つである。本年度は、この系に垂直磁場を加えることで観測される分数量子ホール効果とバレー自由度の関係について調べ、基板上に作成されたグラフェンのカイラル対称性の破れが、電子間相互作用を変化させ、多体効果を通してバレー偏極状態を安定化させることを明らかにした。このバレー偏極状態の安定化は、バレー非偏極の励起状態のエネルギーを上昇させるため、結果的にバレー偏極した分数量子ホール状態であるラフリン状態が安定化されるという結論を導く。このことは基板上のグラフェンにおいて分数量子ホール効果が実験的に明瞭に観測されている事実を説明する。 また、量子多体効果が本質的に重要になる二次元フラストレートスピン系の代表例であるJ1-J2正方格子にエネルギースケール変換を施した密度行列繰り込み群を適用し、Ψ相、Y-like相、V-like相という新しい磁場中の量子多体状態を新しく発見した。さらに、関連するフラストレートスピン系であるチェッカーボード格子においても、スピン励起にギャップがある1/4,3/8,1/2,3/4の磁化プラトー相の存在とそのスピン構造を明らかにした。これらの新しい量子多体状態は、競合する相互作用によって安定構造が複数形成される状況で得られており、最安定状態を外部磁場が最終的に決めることで転移点が与えられている。このことから、多自由度系における複数の相互作用や自由度の存在が、競合する多体効果の起源となり、その関係を調整する外場によって量子相転移が多数引き起こされる様子が明らかになった。
|
Research Products
(11 results)