2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400365
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
阿曽 尚文 琉球大学, 理学部, 准教授 (40313118)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 重い電子 / Yb化合物 / 量子相転移 / 量子臨界点 / 単結晶試料 / 中性子散乱 / YbCo2Zn20 / 近藤効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高圧下における重い電子系Yb化合物の量子相転移と磁気及び価数揺らぎの効果を研究する課題であり,圧力誘起量子相転移を示す YbCo2Zn20 及びその置換系物質の大型単結晶試料の育成とその物性研究(中性子散乱を最終目的に)を行う. 今年度は,YbCo2Zn20 及びその置換系物質の単結晶試料育成を行った.具体的には, Co 元素を Fe, Ni, Rh, Ir の各元素で置換すること,及び Zn 元素を,Cu, Ga, Cd の各元素で置換することを試みた.Ni 元素置換系では,約30%の仕込み量まで単結晶試料が育成されるが,ICP発光による元素分析ではその約3分の1程度にしか置換されないようである.また,他の置換系についても単結晶試料育成に成功しているが,Ni 元素ほどは置換されず単結晶も小さい.現在,ICP発光やX線回折等により分析を進めている.次に,3K以上の電気抵抗測定,磁化測定,比熱測定を各置換系について行い,近藤ピーク温度よりも十分高温では.YbCo2Zn20 の結果とほぼ同じ振る舞いであり,試料が育成することを支持した.また,極低温までの電気抵抗の測定により,近藤ピークの出現する温度が Ni 元素置換とともに減少し,約5 ~ 7% 仕込み量のところで量子臨界点に似た振る舞いを示すことが分かった.他の元素置換についても量子臨界点の有無,圧力誘起磁気相の有無を調べている.最後に,YbCo2Zn20 の大型単結晶試料を用いた中性子散乱実験を行った.そのエネルギーが波数にはよらない結晶場励起,及び近藤揺らぎを観測したが,散乱強度には波数依存性が見られた.また,YbCo2Zn20 の圧力誘起磁気相の波数ベクトルに対応する波数に依存する磁気励起は観測されていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した,YbCo2Zn20 及びその置換系物質の試料育成及び試料評価のプロセス,及びYbCo2Zn20の中性子散乱研究は予定どおり行っているため.
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Strategy for Future Research Activity |
YbCo2Zn20 及びその置換系物質の単結晶試料育成を今後も進める.また,極低温での物性測定を進め,量子臨界点の有無,圧力誘起磁気相の有無を調べていく.また,有望な置換系物質が見つかれば,中性子散乱実験用の大型単結晶試料の育成を行いたい.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、年度最後の3月の出張旅費が予定より若干少なかったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、研究に必要な物品の購入を増やすことを計画している。
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Research Products
(7 results)