2015 Fiscal Year Research-status Report
量子乱流の理論的および数値的研究:乱流遷移の解明と秩序変数の同定
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26400366
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
坪田 誠 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10197759)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子乱流 / 量子渦 / 超流動ヘリウム / 原子気体ボース・アインシュタイン凝縮 / 対数型速度分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
低温物理学の主要テーマである量子流体力学および量子乱流を、理論的および数値的に研究した。舞台となる系は、超流動ヘリウムおよび原子気体ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)である。第1の成果は、量子乱流境界層における対数型速度分布の発見である。超流動ヘリウムの流体力学および量子乱流で、歴史的に最もよく研究されてきたのが、熱によって駆動される熱対向流である。以前の研究は、系は一様として周期境界条件を用いていたが、2006年頃から優れた可視化実験が行われ、量子渦や常流体流れ場の可視化が行われるようになった。こうした実験に動機づけられ、管内流れの数値解析を行い、非一様量子乱流の構造をダイナミクスを明らかにするとともに、量子乱流境界層を見いだした。古典乱流境界層では、乱れた速度場の平均が壁からの距離の関数として対数則に従うという対数型速度分布が知られており、これはバルクのコルモゴロフ則と並ぶ乱流の代表的統計則である。量子乱流境界層の速度分布を調べ、初めて対数型速度分布を見いだした。第2の成果は原子気体BECにおける波乱流の研究である。スカラーBECにおけるボゴリューボフ素励起の波の乱流の研究を行い、巨視的波動関数、密度分布、素励起の分布に特徴的なスペクトルを見いだした。また、スピノールBECのスピン波の乱流を調べ、順方向カスケードと逆方向カスケードの存在と、それらに特徴的な相関関数のべき乗則を見いだした。これらの乱流の統計則は実験で観測できる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
超流動ヘリウム原子気体BECの双方を通じて、全般的に順調であるが、特に量子乱流境界層における対数型速度分布の発見は、予想外であったので、その点、当初の計画以上の成果が出ていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
超流動ヘリウムの研究は、これまで常流動を固定し、そのもとで量子渦の運動を追って来たが、最終年度は常流動流れのナヴィエ・ストークス方程式を解き、量子渦の運動をと結合させるという、大きな問題にチャンレジする。これにより、我々の研究がさらに一頭地を抜くことは疑いない。原子気体BECの乱流では、既に我々の研究成果を見たイギリスの実験グループから共同研究の申し入れがあり、実験で特徴的な乱流のべき乗則を観測する可能性を追求する。
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Causes of Carryover |
予定通り適切に予算を執行したが、外国旅費が当初の計画より少し安くなったので、次年度使用額5,107円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
5,107円は、次年度の旅費に組み入れて執行する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] 非一様量子乱流2016
Author(s)
坪田誠
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
東北学院大学(宮城県仙台市)
Year and Date
2016-03-19 – 2016-03-22
Invited
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