2015 Fiscal Year Research-status Report
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26400367
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
加藤 勝 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90204495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 修 大阪府立大学工業高等専門学校, 総合工学システム学科, 准教授 (60290764)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 渦糸ダイナミクス / 分子動力学法 / ギンツブルグランダウ方程式 / ゴルコフ方程式 / 奇周波超伝導 / 不純物効果 / 渦糸相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、1)渦糸ダイナミクスの分子動力学法シミュレーションについて、熱伝導と遅延相互作用を取り入れたシミュレーションを進め、EUCASで招待発表を行った。さらに、この方法をナノサイズに閉じ込められた渦糸の融解現象のシミュレーションに応用している。この結果の一部は物理学会で報告した。 2)ナノ構造超伝導体中の渦糸ダイナミクスの現象論シミュレーションについて、勾配磁場下での渦糸構造と、カイラル磁性体からくる空間振動磁場下での磁束構造を超伝導の現象論であるギンツブルグランダウ方程式を解くことで求めた。特に、カイラル磁性体からの磁場下では、上向きと下向きの渦糸が対を成して生じ、これが向きが異なる渦糸間の相互作用とカイラル磁性体からの磁場からの相互作用の競合によることを明らかにした。今後、電流を流したときのダイナミクスを求めるための出発点となる。 3)ナノ構造超伝導体に磁場を印可した場合に、超伝導となる電子対がもともと軌道がs波でスピンがシングレットになっている超伝導状態の中に超伝導対の振動数依存性が反転に対して奇となりスピンがトリプレットになる奇周波超伝導状態が現れることを示し、その成分の空間依存性を明らかにした。今後、渦糸が超伝導体に侵入したときのこの奇周波超伝導体の構造の変化とそのダイナミクスについての基礎ができた。さらに、超伝導転移温度が上昇することを明らかにし、形状依存性を求め、不純物による転移温度の減少することを示した。今後のこの転移温度の減少の形状依存性も調べていく。 4)従来型の超伝導体と超伝導対称性がd波の超伝導体を組み合わせて半整数量子磁束が生じる超伝導複合体(d-dot)において、d波超伝導体においてその結晶構造が異方的な場合に、その半整数量子磁束が変化するかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渦糸相互作用の微視的な理論は、少し遅れているが、今年度は、カイラル磁性体からの磁場下と勾配磁場下での渦糸構造を明らかにすることができた。さらに、渦糸ダイナミクスについて、ナノ構造超伝導体における渦糸格子の融解という現象をシミュレーションする基盤を作ることができた。ナノ構造超伝導体における奇周波超伝導状態については渦糸がない場合の構造を明らかにできた。今後は渦糸状態にどのように影響を与えるかを明らかにする必要がある。また超伝導複合体における半整数磁束の発生の結晶構造の異方性が与える影響を明らかにし、今後の半整数磁束のダイナミクスの基礎ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、1)分子動力学法を用いて、渦糸格子の融解の様子を、ナノサイズ超伝導体とバルクの超伝導体に対して明らかにする。2)ナノ構造体における渦糸間の相互作用を微視的に明らかにする。3)カイラル磁性体と超伝導2層構造における渦糸構造の3次元構造を明らかにし、さらにそのダイナミクスのシミュレーションを行う。3)ナノ構造超伝導体に磁場を印可した場合の奇周波超伝導と渦糸構造の関係を明らかにし、そのダイナミクスのシミュレーションを行う。
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Causes of Carryover |
研究発表のための学会参加の回数は予定通りであったが、旅費を少なくすることができた。また、ソフトウェアを予算計画より少額で購入することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度には、研究代表者や、分担者、大学院生の学会発表を増やし、旅費として利用する。
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