2014 Fiscal Year Research-status Report
テンソルネットワークを用いたフラストレート量子スピン系の非磁性相の数値的研究
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26400392
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 健自 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80303882)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脱閉じ込め量子臨界現象 / ベイズ推定 / 有限サイズスケーリング / トポロジカル秩序 / SO(N)対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)脱閉じ込め量子臨界現象を示す系の有限温度状態の研究、(2)ベイズ推定を用いた臨界現象の解析手法の改良、(3)異なる対称性の破れた1次元量子相間の量子臨界現象の研究、(4)マルチカラムSU(N)VBS相の研究、(5)テンソルネットワークの大規模並列化環境構築を行った。
主な結果として、(1)に関しては、SU(N)JQモデルのVBS相の有限温度相転移がZ3もしくはZ4の対称性を自発的に破る臨界現象であることを数値的に示した。特に、正方格子では、Z4対称性が破れに伴い弱い2次元イジングユニバーサリティークラスであることが示された。また、SU(N)JQモデルの量子相転移点が一次転移であることを表す3重臨界点は有限温度領域では確認されなかった。このことはJQモデルの量子相転移点が臨界的であることをサポートする。(2)に関しては、現在、関心の高い強い有限サイズ補正がある量子臨界系への応用を想定して、新しいベイズ推定を用いた有限サイズスケーリング法に補正項を系統的に取り組む方法論を提案した。その有効性を3次元イジングモデルのデータを用いて示した。(3)に関しては、1次元SO(N) bilinear-biquadraticモデルのVBS-SPT相間の量子臨界現象のユニバーサリティークラスを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脱閉じ込め量子臨界現象を起こしていると考えられているSU(N)JQモデルの有限温度状態の解析が進み、その全体像が明らかになった。さらに、臨界現象一般の解析に有効であるベイズ推定に基づくスケーリング解析手法を、補正項を含めた場合にも適用可能な形に拡張でき、今後の解析に役立つことが期待される。また、関連する対称性に守られたトポロジカル相とVBS相間の量子臨界現象を明らかにすることで、脱閉じ込め量子臨界現象との差が明確になった。
テンソルネットワークに関しては、ベンチマーク等により大規模並列化のための環境構築にめどが付き、来年度の研究の準備が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
数値的に脱閉じ込め量子臨界現象とトポロジカル秩序相の判別が難しい場合が本研究計画の主たるターゲットであり、そのため計算精度の向上は本研究計画の要である。その点に関して、最近、テンソルネットワークの理論的研究に新しい進展があった。従来のPEPSやMERAに加えて新手法の応用も視野にいれて予備的研究をまず行い、その結果に基づき、新手法を取り入れるかどうかの検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
海外出張が一つ減ったことにより当初予定していた旅費を下回ったことと、コード開発等の機材をより高性能の機器に変更したことによる購入の延期が、残額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度中期に次世代のコード開発用の機器を購入する。
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Remarks |
ベイズ推定を利用した有限サイズスケーリング解析のためのアプリケーションコードを公開。
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Research Products
(8 results)