2015 Fiscal Year Research-status Report
テンソルネットワークを用いたフラストレート量子スピン系の非磁性相の数値的研究
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26400392
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 健自 京都大学, 情報学研究科, 助教 (80303882)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ベイズ推定 / マルチカラムSU(N)VBS相 / 並列化テンソルネットワーク計算 / 脱閉じ込め量子臨界現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1)ベイズ推定を用いた臨界現象の解析手法の改良、(2)マルチカラムSU(N)VBS相の研究、(3)テンソルネットワークの大規模並列化環境構築を行った。 (1)に関しては、スケーリング補正項の系統的な推定方法を提案し、幾つかの題材に適用した結果、スケーリング補正項の推定は一般的にデータに高い精度を要求することがわかった。従って、スケーリング補正項を直接的に考慮するよりも、ベイズ推定の枠組みで同時に複数の物理量をスケーリングすることで、総合的に妥当な臨界指数の評価を行うことが有効であることを示した。(2)については、大規模な量子モンテカルロシミュレーションに基づき、カラム数2の場合について磁性相と非磁性VBS相間に中間層がないことを明らかにした。また、カラム数3以上の場合では、VBS秩序の検出が現在の計算規模では困難であることを定量的に示した。(3)に関しては、PBLASとSCALAPACKをベースにした汎用テンソルネットワーク計算用の並列化C++ライブラリを構築し、PEPSなどのテストコードを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチカラムSU(N)モデルの基底状態相図を理論的予想と詳細に比較したことで場の理論的手法の予言を実証的に確かめることができ、今後の解析の基礎となる知見が得られた。テンソルネットワークに関しては、大規模並列化のための環境構築が完成したので来年度の研究の準備が大いに進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
脱閉じ込め量子臨界現象では、SO(5)対称性の提案やブートストラップ法による定量的な制約など新しい理論的展開がなされており、それらを踏まえた研究を進めていく。また、テンソルネットワークに関しても、新しいテンソル操作に基づくアルゴリズムを提案し、大規模並列計算環境を活用することで、2次元量子系の計算を進める。
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Causes of Carryover |
海外出張が一つ減ったことにより当初予定していた旅費を下回った事と計算環境の構築を延期した事。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度すみやかに、海外出張の計画立案と計算環境の構築をはかり、研究計画を進める。
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Research Products
(4 results)