2014 Fiscal Year Research-status Report
非線形連成振動系におけるエネルギー局在理論の実験的検証
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26400394
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邉 陽介 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30304033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 祐介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10403172)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非線形局在振動 / エネルギー局在 / 周期構造 / 離散系 / 非線形格子 / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、理論解析や数値シミュレーションによりその存在が予言されている非線形局在振動モード(Intrinsic Localized Mode: ILM)の実験的検証および理論との比較に耐え得るILMの精密な実験データの取得を目指す。この目的の達成のために本年度は、①力と伸びが強い非線形性を示すメカニカルなバネ(非線形バネ)の開発・作成、②この非線形バネと多数の質点からなるシンプルで長い連成振動子列(非線形格子)の自作およびこの格子に励起される振動の精密な測定がおこなえる計測システムの構築、③移動型ILMの励起実験、を中心に研究を進めた: ①本実験ではFPU-β型の1次元非線形格子の作成を目指している。要求される特性を示す非線形バネを得るために、バネ製造専門業者に特殊な形状のバネの製作を依頼し、更に研究室内で手作業の加工をおこなうことにより、期待する特性をもつ非線形バネの量産に成功した。 ②39個の同形状・性質をもつ錘と①で作成した40個の非線形バネからなる連成振動子列を新たに組み上げた。また系を加振するための装置について、機構自体を見直し、正確な加振ができるように作り直した。振動の計測には光学式のモーションキャプチャーを用いるが、カメラの台数を増やし広角の計測が可能になるようにした。 ③実験と並行して進めた数値解析の結果と突き合わせながら、加振条件を変化させ、励起実験を繰り返した。移動型ILMについて理論と良い一致を示す実験結果が得られた。この研究結果は2つの国際会議および国内学会で発表、報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『研究実績の概要』で示したように、本年度の目標である、①非線形バネの開発・製作、②長連成振動実験装置の作成、③移動型ILMの励起実験、が概ね達成できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
定在型のILMの励起を実験装置を用いて検証し、振動の精密な測定および理論との比較をおこなう。このために移動型の場合とは全く異なった加振方法の検討および装置の開発に取り組む。 また空気浮上を利用した新たな連成振動子列の開発を進める。これにより現有の実験装置で発生が懸念される、大振幅振動での系の座屈が解決できることが期待できる。
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Causes of Carryover |
物品の購入費および国内旅費の一部に他の経費を充てることができたから。 研究分担者の外国旅費に他の経費を充てることができたから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の実験に必要な物品費に充てる予定。
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