2016 Fiscal Year Research-status Report
非線形連成振動系におけるエネルギー局在理論の実験的検証
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26400394
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邉 陽介 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30304033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 祐介 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (10403172)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形局在振動 / エネルギー局在 / 周期構造 / 離散系 / 非線形格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年、非線形性の強い離散周期系における普遍的な局在励起構造であると認識されるようになった『非線形局在モード(Intrinsic Localized Mode: ILM)』の、実験的検証および理論との比較に耐え得る精密な実験データの取得を目的としている。これまでに、よく知られた非線形格子の一つであるFermi-Pasta-Ulam-β型の特性を模した、「押し引き」に対して対称な応答をする非線形バネの作製と量産に成功している。またこれらのバネと振動子からなる連成振動子列(吊り下げ型と空気浮上型)および加振装置を自作し、この系におけるILMの励起の実証にも成功している。光学カメラを用いた計測システムの構築により、これら励起ILMの観察および基本的な実験データの取得を進めている。空気浮上型の装置で得られた実験結果について2つの国際学会(NOLTA2016, NELC2016)にて報告した。 本年度は特にILM励起のための加振機構を見直し, “単発”の移動型ILMの励起および伝播を可能にした。これまでは移動型ILMの励起のために振動子列の一端を連続加振していた。これにより加振端でILMが間欠的に励起し、次々と系を伝播、他端(固定端)で反射する様子が観察できた。しかし個々の局在振動の挙動を、反射して戻ってきた別の先行局在振動と区別してクリアに観察することは困難であった。今年度は加振機構の見直しと試作を進め、新たに作成した「振動子保持装置」により単発の局在振動の励起、伝播の観察が可能になった。試作機による結果は秋の国内学会(日本物理学会)で報告した。振動子保持装置を用いた結果については、年度末に英国のILMのパイオニア的研究者であるC. Eilbeck教授とM. Russell教授を訪問して議論をおこない様々なアドバイスを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2種類の非線形連成振動子列を作成し、それぞれの装置において、線形波の伝播が許される振動数よりも高い振動数をもつ局在振動の励起と伝播を確認しており、メカニカルな系におけるILMの実証に成功しているため。また加振方法を見直し今年度新たに作製した装置により、移動型ILMの伝播特性の、より詳細な観測が期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
・改良した加振装置を用いて励起される移動型ILMの詳細な実験データの取得をおこなう。 ・オンサイト的な復元効果を取り入れ、ILMの伝播特性に及ぼす影響を調べる。 ・数値計算による解析を並行しておこない、理論との比較検討をおこなう。
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Causes of Carryover |
参加、発表を予定していた国際学会の開催が国内になったため。 予定していた国内の研究者との打ち合わせ、議論の場がたまたま近郊に集中したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内研究打合せ旅費と、実験装置調整のための消耗品購入に充てる予定。
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Research Products
(4 results)