2015 Fiscal Year Research-status Report
分子間相互作用の小さな単純分子液体における液体液体転移の証明
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26400427
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
辰巳 創一 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (50533684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 泰斗 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00631384)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液液転移 / NMR / 中性子準弾性散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は研究名においては,1.低温固体NMRプローブの開発,2.数値計算による液液転移の検証,3.化学シフト異方性の多量子コヒーレンスに与える影響の評価を行った.以下にその概要を示す. 1.低温固体NMRプローブを開発し,その発注を行った.現在,その組み立てを行っている.完成後に,転移点周辺に置ける緩和挙動の変化について測定を行う. 2.辰巳の所属する同一研究機関の水口の協力のもと,CHARMM35の化学モデルに基づいた分子動力学計算を行うことにより,細孔中のシクロヘキサンにおける液液転移を再現することで,その微視的な機構に迫ることを試みた.その結果,実験で転移がみられる温度の前後で最近接分子の数などが変化していることがわかった.現在は更に掘り下げてどのような変化が見られるのかについて検討している. 3. NMRのスピンカウンティング法は多量子コヒーレンスの時間発展を測定し解析することで分子クラスターの個数を測定できる。より正確に解析するために化学シフト異方性が多量子コヒーレンスの時間発展に与える影響について理論的・実験的に調べた。その結果、理論的には第一次近似のもとでは化学シフト異方性は影響しないことがわかった。実験的にはパルスの不完全性が多量子コヒーレンスに大きな影響をあたえることが分かった。 研究発表については,年初のMontpellierの学科における研究発表や,秋に辰巳の所属する京都工芸繊維大学において細孔中の分子の挙動についての国際研究会を主催,熱測定討論会やNMR討論会での発表を通じて情報交換につとめた.秋には,熱測定誌に解説論文も出版している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
液液転移の機構については,水口らと共同で進めている数値計算を通じて,近接粒子の挙動が重要である,という示唆を示す結果を得ることが出来た.現在までの研究内容について,幾つかの研究会や,論文を通した発表を通じて,示唆的なフィードバックを得ることも出来ている.その一方で、ダイナミクスについては,低温用プローブの作成が遅れており,その点を考え見て,やや遅れている,とした.
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Strategy for Future Research Activity |
先述したNMRによるダイナミクス測定の他に,ドイツの研究者と共同で中性子準弾性散乱を計画している.この両者を通じて,転移点周辺での変化について明確にする.また,その一方で,数値計算についてもある程度結果がまとまってきているため,今年中に論文の形で発表することを予定している.
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Causes of Carryover |
中性子準弾性散乱の実験が出来なかったことと,海外での学会参加に学科の助成が出たことから余剰金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置の改良と,準弾性散乱実験旅費に余剰金は使用する.
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Research Products
(11 results)