2015 Fiscal Year Research-status Report
筋肉の自励振動: 心筋拍動のメカニズムに関する新しい視点
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26400441
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90513622)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 筋原線維シートモデル / 局所大域結合振動子 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)筋肉の自励振動や収縮の性質をよく表す筋原線維モデル(1次元モデル)を現実の筋原線維シートにあわせて2次元化し、そこに現れる振動パターンを数値シミュレーションによって調べた。モデルに現れる振動パターンは実験で現れるものとよく定性的に一致した(例えばトラベリングウェーブが斜めに位相をずらして走るなど)。それらの結果を論文にまとめてBiophysical Journalに投稿した。現在リバイズ中である。 (2)筋原線維上に現れるいろいろな複雑の振動パターンの本質は、振動する素子が局所的にattractiveな相互作用をし、大域的はrepulsiveな相互作用をしていることが明らかにされているが(Sato, et al. 2013)、局所大域結合振動子の数理面での解析は徹底的にはなされていなかった。今年度我々は局所大域結合振動子の位相のダイナミックスを表す位相方程式から出発し、この振動子系の持つ振動パターンや性質を数理的な面で徹底的に調べた。その調査によって、振動子間の位相差が振動するパターンを見つけさらに、その振動が局所的に不安定であり、且つ大域的には安定であること(attractingなホモクリニックオービットに取り囲まれたサドル的なリミットサイクル)を見つけた。その結果をまとめPhysical Review Eに投稿し、受理された(K. Sato and S. Shima, Phys. Rev. E 92, 042922 (2015))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年12月に北海道大学に移動したが、生活や研究環境が整ってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)筋原線維シートモデル(2次元モデル)の研究(現在リバイズ中)を出版まで持っていく。 (2)筋原線維シートモデルで現れた振動パターンの本質をつかむためにその数理モデルを位相方程式に縮約して、どのようなタイプの結合振動子になっているかを調べる。また筋原線維モデル(1次元モデル)のときと同様に、その結合振動子システム(2次元モデル)の性質を数理的に調べる。
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Causes of Carryover |
平成27年の9月に鎖骨を複雑骨折をして、2ヶ月間ほど活動を十分に行えない時期があり(特に出張など)、そのため27年度使用額が予定より少なめになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は平成26年、27年での研究成果を積極的に宣伝するために国内、海外への研究会への出席を増やす。その旅費として用いる。また研究成果をまとめるためのソフトウェアの購入に使用する。
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