2016 Fiscal Year Annual Research Report
Mysterious behavior of ionosphere immediately before and after large earthquakes
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26400442
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日置 幸介 北海道大学, 理学研究院, 教授 (30280564)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地震前兆 / 電離圏全電子数 / GNSS / トモグラフィー / マグニチュード |
Outline of Annual Research Achievements |
計画開始当初から取り組んでいた地震直前に現れる電離圏全電子数(TEC)異常について最終年度においても研究を行った。その結果二つの大きな成果を挙げることができた。 成果1.地震直前電離圏電子数異常の三次元空間構造の解明 2010年マウレ地震(M8.8)、2014年イキケ地震(M8.2)、2015年イジャペル地震(M8.3)の、チリで発生した三つのプレート境界型大地震に関し、南米大陸に分布するGNSS局のデータを解析することによって、それらの発生の四十分から二十分前に始まったTECの異常をもとに三次元トモグラフィー解析を行った。その結果震源から地球磁場の磁力線に沿って高度200kmに正の異常、高度400kmを中心に負の異常が生じるという特徴的な構造を見出した。これは地殻から電離圏に向かって流れた電流がもたらす電離圏電子の再配置の計算機シミュレーション(Kuo et al., 2014)の結果と調和的であり、地震直前のTEC異常の原因が地表に現れた正電荷であることの有力な証拠となった。本成果はGRL誌にHe and Heki (2016)として出版された。 成果2.マグニチュード7-8の地震の直前に起こるTEC異常の解明 従来はマグニチュード8以上の巨大地震を研究対象としていたが、マグニチュードが7と8の間である34個の地震について、GNSSデータを解析し、そのうち八個の地震について地震発生10-20分前にTECの異常が始まっていたことを解明した。TEC異常が観測された地震と観測されなかった地震の差は背景TECの差であることがわかった。つまり低緯度帯の昼間に発生した場合はM7-8の地震でも前兆TEC変化が観測できる可能性が高い。これによって2015年の論文で提唱した地震直前TEC変化の経験式をM7まで拡張することができた。本件はHe and HekiとしてJGR誌に投稿中である。
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