2014 Fiscal Year Research-status Report
応力状態変化に伴う地殻深部速度構造の時間変化の検出
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26400446
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
五十嵐 俊博 東京大学, 地震研究所, 助教 (10334286)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 地球内部構造 / レシーバ関数 / 相似地震 / 時間変化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
地殻深部の地震波速度構造の時間変化を推定する際に必要となる、中規模地震の波形記録を蓄積するシステムおよび、相似地震を抽出するシステムを構築した。波形記録蓄積システムは、グローバル地震カタログに掲載された、世界各地で発生したマグニチュード4.5以上の地震のうち、日本の地震観測網で揺れが検出される地震のみを抽出できるようにした。相似地震抽出システムは、レシーバ関数解析で使用する波長帯域を考慮し、0.1～4.0Hzの間でいくつかの周波数帯域にわけてフィルタを施して解析できるようにした。
相似地震の抽出は、2002年8月から2014年4月の間に発生したマグニチュード５以上、震央距離30度から90度の範囲にある地震のうち、直達P波付近の信号を目視確認したイベント、2464個を用いて行った。その結果、波形の相似性が非常に高い地震群が、2004年スマトラ地震の余震域内やトンガ地域等、本解析期間においてプレート相対運動速度が速いと思われる地域で多数抽出された。得られた相互相関係数の値は地域毎に時間変化していることから、地震波速度構造が時間・空間変化している可能性が示唆された。
レシーバ関数による地震波速度構造解析は、各観測点下の標準的な地殻・最上部マントルの地震波速度構造および地震波速度不連続面の深さを、地殻深部の地震波速度構造の時間変化を調査する前段階として推定した。その結果、上部地殻と中部あるいは下部地殻を分ける顕著な速度勾配を持つ領域が地殻内地震発生域の深部に見られるなど、地殻内の主要な速度不連続の存在を確認する事ができた。推定されたモホ面深さは、幾つかの場所で地震波の走時インバージョン解析の結果よりも深かった。このことから、地殻・マントル境界付近でS波が低速度であるか、高いVp/Vsを持つ領域の存在が示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中規模地震波形記録の蓄積システムが構築され、長期間にわたるデータの蓄積が順調に進んでいる。相似地震解析では、遠地で発生した中規模相似地震が日本の地震観測網を用いることにより抽出可能であること、波形の相似性が地域毎に時間変化していることを明らかにした。レシーバ関数解析では、各観測点下方の地殻・最上部マントルの地震波速度構造および地震波速度不連続面が推定され、時間変化の抽出の基礎情報を構築することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初計画した通りに研究を進める予定である。世界各地で発生する中規模地震の地震波形記録の蓄積は継続的に行う。日本列島域で観測される相似地震については、得られた波形情報を基に、より長期間、より広範囲の地震に対して解析を行うことにより、データベースを構築する。地震波速度構造解析については、レシーバ関数の位相・振幅の比較を基に、地震波速度構造変化を推定する手法の開発を行う。開発した手法はまず、相似地震に適用してテストし、相似地震の発生間における各観測点下の地震波速度の時間変化が推定可能か調べる。
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| Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、国際学会の予稿投稿を英文校閲することなく行ったことやその内容を含む論文執筆がやや遅れているために謝金が発生しなかったこと、他の用務が重なり、初年度予定していた国内学会出張費用が発生しなかったことがあげられる。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画としては、論文を執筆した際の英文校閲費用への使用および国内旅費への使用、データ使用量の増加に伴うデータ保存のための物品費の増額に充てることを計画している。
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Research Products
(2 results)
