2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of activity of deep low-frequency earthquakes in subduction zone
Project/Area Number |
26400447
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 愛太郎 東京大学, 地震研究所, 准教授 (20359201)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低周波地震 / ゆっくり地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に作成した深部低周波地震の震源域近傍の観測点で収録された2004年4月から2015年8月までの約11 年半分の連続波形記録に対して、Matched Filter法を適用することで東海・紀伊半島・四国地域における深部低周波地震の検出を実施した。解析対象領域をお互いが重なるように10個の領域に分け、それぞれの領域に含まれる定常観測点(Hi-net)の連続波形データを解析に使用した。気象庁一元化処理震源カタログから、信号対雑音比の高い低周波地震を基準地震として選択した。Matched Filter 法を適用することで、新たに約50万個の深部低周波地震の検出に成功した。構築した検出限界に迫る新たな低周波地震カタログを分析した結果、多様な時間スケール・空間スケールにおいて低周波地震の移動現象が起きていることが明らかになった。代表的なものとしては、移動速度が1日約10 kmで移動距離約50 kmにわたる短期的スロースリップに伴うモードが挙げられる。さらに、時速約100 kmで移動距離約10 kmにわたる高速移動現象が、深部低周波地震発生域の帯に沿って複数の領域で頻繁に起きていることが新たに発見された。この高速度移動に伴う低周波地震活動域のフロントが、拡散様式にしたがって拡大することが確かめられた。更に、プレートの傾斜方向の低周波地震の活動様式の平均的な特徴を調べたところ、深さ約30 kmよりも浅いところでは、間欠的で相対的に規模の大きな滑りを起こすのに対して、深部側ではより連続的で規模の小さな滑りを繰り返す傾向があることが示された。また、規模別頻度分布の傾きであるb値の深さ依存性を調べたところ、間欠的な滑り様式の特徴が強い浅部側の方が、深部側に比べてb値が大きくなる傾向が見られた。
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