2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26400448
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 究 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10345176)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 地球自由振動 / 海洋波浪 / 脈動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年 12 月 9 日爆弾低気圧が大西洋で発生しイギリスやアイルランドに被害をもたらした。 その際に海洋波浪により発生した P 波は地球深部を伝播し日本にまで到達した。観測された P 波の振幅は 0.1μm と一見小さいが、同じ地域で起こったマグニチュード 6 の地震にも匹敵す る。このような海洋波浪起源の地震波は、近年、地球内部構造を調べる上で注目されている。 本研究では、嵐による海洋波浪が励起する脈動 S 波を初めて検出し、観測データから嵐がどのように地震波(P 波・S 波などの実体波)を励起しているかを明らかにした。大西洋で発生した爆弾低気圧時の日本の地震計記録(Hi-net)を解析し、爆弾低気圧によって励起された周期 5-10 秒の P 波・S 波を検出し、震源位置と強さを推定した。低気圧の移動にともない震源は海底の等深線に沿って移動している事が分かった。本研究は、遠く離れた嵐によって励起された地震波を使って嵐直下の地球内部構造が推定できる可能性を示している。地震、観測点ともに存在しない海洋直下の構造を推定できる可能性を意味し、地球内部構造に対して大きな知見を与える可能性がある。爆弾低気圧同様、台風・ハリケーン・爆弾低気圧など局在化された強い気象擾乱は各地に存在する。今後これらの 事例を集めカタログ化することは重要である。本年度は予察的に、2005-2011年度のHi-netデータに対して脈動実体波の震源位置をカタログ化を行い、既存の研究と調和的であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画通り解析を行い、結果を英文誌に公開したため。一部未発表の研究内容は、平成29年度に発表する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
嵐によって励起された脈動実体波成分が点震源で表現出来るという事を示した。これは地震に変わる新たな地球内部を照らす光を見つけ出した事を意味し、嵐直下の地球内部構造推定できる可能性を示した。言い換えると、地震、観測点ともに存在しない海洋直下の構造を推定できる可能性を意味し、地球内部構造に対して大きな知見を与える可能性がある。台風・ハリケーン・爆弾低気圧など局在化された強い気象擾乱は各地に存在する。今後これらの事例を集めカタログ化し、今後、地震がなく地震計がない地域(特に南半球)の地球内部構造推定を目指していく予定である。
|
Causes of Carryover |
昨年度、当初の計画にない嵐起源の脈動実体波を世界で初めて検出した。この現象は本研究テーマに取って鍵となるものである。今後の研究の発展のために、追加で太平洋・インド洋地域での解析を進める必要が生じた。次年度、データ解析に必要な消耗品、学会参加費、論文投稿費用が必要となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析・学会発表に必要なノートPC、データの蓄積に必要なハードディスクの購入に使用する予定である。また、関連する研究発表の学会発表にも使用する要諦である。
|
Research Products
(6 results)