2016 Fiscal Year Annual Research Report
Isentropic analysis of the formation mechanism of a barrier jet in the Japan Sea
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26400461
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
島田 照久 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (30374896)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海上風 / 衛星観測 / 気象シミュレーション / ヤマセ / 北太平洋亜寒帯 / 日本海 / 合成開口レーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「温位座標解析を用いて、夏季にオホーツク海を含めた北太平洋亜寒帯域で形成される下層冷気の広域変動・分布を明らかにすることによって、日本海のバリアージェットの発生機構を解明する」ことである。平成28年度は、日本海のバリアージェットの発生過程について事例解析を行った。2005年7月2-8日にかけて日本海で発生したバリアージェットの事例を対象とし、その気象シミュレーションの結果(平成26年度に実施)を解析した。主な結果は下記の通りである。1)オホーツク海・北太平洋亜寒帯域西部の下層冷気が南下して、サハリン・北日本に押し寄せたときに、日本海のユーラシア大陸沿岸でバリアージェットが発生していた。2)夏季の下層冷気の気候学的特徴の解析(平成27年度に実施)の結果に基づいて、296Kの等温位面以下の冷気質量と冷気質量フラックスを解析した。296Kの等温位面の高度は、オホーツク海周辺では約1500mである。その結果、サハリンから津軽海峡付近にかけて存在する地峡・海峡から、日本海に冷気が流出する過程とユーラシア大陸沿岸で合流する過程を明らかにできた。3)サハリンから津軽海峡までの地峡・海峡を、仮想的に周辺の標高と同じ程度にして地峡・海峡を閉じた実験を行った。その結果、下層冷気がどこから日本海に供給されるかによってバリアージェットの形態が変わり、各地峡・海峡からの冷気流出がバリアージェット形成に寄与していることが明確になった。4)日本海最北部では、下層冷気は、サハリンの北部の低地を横切って日本海に流出することがわかった。また、サハリン南部の地峡、宗谷海峡からの冷気流出量が特に顕著であった。
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