2014 Fiscal Year Research-status Report
データ同化による日本沿岸の10日から10年スケールの水位変動メカニズムの解明
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26400472
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
碓氷 典久 気象庁気象研究所, 海洋・地球化学研究部, 主任研究官 (50370333)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 沿岸水位 / 異常潮位 / 沿岸捕捉波 / 黒潮 / データ同化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に従い、今年度は、本研究課題の基盤データセットとなる長期再解析データを作成した。また、観測データ等との比較から、本データセットが、本研究で着目する黒潮および黒潮続流域において高い再現性を有していることを確認した。 次に、上記再解析データを境界値とする沿岸モデルを用いて、2011年9月に瀬戸内海周辺で発生した異常潮位の再現実験を実施した。沿岸潮位計による観測水位との比較から本異常潮位事例が良好に再現されていることが確認された。このモデル結果の解析から、本異常潮位は、伊豆諸島付近での黒潮流路変動の結果生じた沿岸捕捉波が日本南岸を伝播することによりもたらされた事が分かった。また、沿岸捕捉波の特性に関する解析から、この波動が、内部に密度偏差を伴った、第1モードの沿岸捕捉波の特性を有していることが分かった。さらに、瀬戸内海東部では、紀伊半島沖の黒潮が接岸することによる局所的な効果による水位変化が生じていたことも分かった。すなわち、黒潮の接岸により紀伊半島の西岸沿いに北西向きの反流(振り分け潮)が生じ、この反流が黒潮系の暖水を紀伊水道周辺に供給することで、瀬戸内海東部の水位が上昇する。 さらに、長期再解析データを用いて、日本南岸の黒潮流路変動と日本沿岸水位との対応を調べたところ、伊豆諸島付近の黒潮が接岸傾向である時期に日本全域の沿岸水位が高くなる傾向があることが分かった。このことは、上述の黒潮変動により生じる沿岸捕捉波が、日本沿岸水位の長期的な変動にも関わっていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた再解析データの作成、および異常潮位の事例解析が順調に進んだ。異常潮位の事例解析に関しては、今年度の解析から、先行研究で指摘されていない多くの知見を得ることができた。この成果に関しては、今後、論文として取りまとめる予定である。以上から本課題がおおむね順調に進展いると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の2つの課題を中心に取り組む。 (1)沿岸水位変動の地域性の把握と沿岸域流動場への影響評価 沿岸水位は、必ずしも一様に変動するわけでなく、顕著な地域性があることが知られている。そこで、長期再解析データを元に、主成分分析等の統計解析から、沿岸水位変動の地域性を把握する。さらに、沿岸水位の変化が流動場に及ぼす影響についても沿岸モデルを用いて調べる。 (2)黒潮・黒潮続流循環系の10年規模変動と沿岸水位との関係の解明 今年度の解析から得られた知見を元に、黒潮流路および黒潮続流の状態と沿岸水位との関係を整理し、沿岸水位の10年規模変動の要因を解明する。
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Causes of Carryover |
再解析データを保存するためのディスク装置を他科研費課題と共同で購入したことにより、当初予定よりも安価で購入することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、準備中の論文の投稿料の一部に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)