2018 Fiscal Year Annual Research Report
Lunar electromagnetic environment revealed by SELENE (Kaguya)
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26400477
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西野 真木 名古屋大学, 工学研究科, 特任講師 (50466794)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 月プラズマ環境 / 惑星間空間磁場 / 太陽風 / 月ウェイク / 反磁性効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、Kaguyaが観測した月の昼側および極域上空で惑星間空間磁場が減少するイベントに関して、さらに詳しい解析をおこなった。昼側での磁場の減少は、月面で反射・散乱された太陽風陽子の圧力が磁気圧の減少分を補うとすればある程度は説明することが可能である(反磁性効果)。しかし、極域の上空における磁場の減少は、反射・散乱された太陽風陽子の圧力だけでは説明することが難しい。極域上空での磁場の減少は、先行研究の統計解析結果には見られないものであり、メカニズムの解明には今後のさらなる研究が必要である。なお、月の夜側ウェイク境界だけでなく昼側にも反磁性電流系が形成されることを提唱した。(これらの内容は国際学術誌Icarusに投稿し、2019年5月時点で査読中。) 次に、平成29年度に着想に至ったウェイク境界でのイオンと電子の運動を考慮した新たなモデルに関して、さらに考察をおこなった。このモデルでは、太陽風イオンはある程度は分極電場の効果によらずにウェイク・イオン境界層に流入し、分極電場がその最も内側に形成される可能性を指摘しており、月面から上昇してくる電子ビームのエネルギー変化は提案したモデルによって矛盾なく説明することができた。今年度に新たに着目したのは、この電子ビームのエネルギー変化(約50V)はウェイク境界層に存在するポテンシャル差と一致しているべきであるが、1990年代の先行研究で報告されたポテンシャル差(約400V)よりも1桁小さいという点である。先行研究ではイオンの観測からポテンシャル差を推定していたが、その計算方法に誤りがある可能性が高い。同じデータを用いて我々が計算するとポテンシャル差は約50V程度となり、Kaguyaの観測結果と矛盾しない値が得られた。したがって、本研究によってウェイク境界のポテンシャル差を定量的に示すことができた。(論文投稿準備中)
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