2014 Fiscal Year Research-status Report
ファイバ方式を用いた完全同時分光イメージングによる金星大気雲層観測
Project/Area Number |
26400480
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 学 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (40451512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 敦 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (00374893)
鍵谷 将人 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30436076)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ファイバ面分光 / 装置開発 / 紫外観測 / 金星 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1)完全同時二次元分光と高速撮像を組み合わせた高い空間分解・多波長の二次元イメージ観測を実現し、2) 金星紫外雲模様の違いが出る波長域を明らかにすることである。地上観測から金星雲層模様差の原因を明らかにするには、地球大気の影響を極力小さくするために、同時刻の複数波長の二次元画像を比較する必要がある。これを実現するために、ファイバ方式を用いた完全同時二次元面分光の高空間分解化と高速撮像観測システムの開発を進めている。これによりシーイングの良い同時刻の多波長画像データを多数取得し、模様の違いがどの波長から現れるのか測定可能にする。 初年度は、本研究の肝となるファイバ方式面分光の高空間分解能化を達成するために不可欠となる「簡便で精度の良いファイバ配列手法」の検討を行った。試行錯誤を繰り返しつつファイバユニットの最小構成部の試作をおこなった。1) ファイバユニットの片側となる一次元配列を方法については、ファイバ素線を初めから必要な長さに切り取らず、ロール状に隙間なく配列し、一部を固定したのちに切断する方式、2) ファイバユニットのもう片側の二次元配列方法については接着剤の張力を用いることで束ねるといった方法を組み合わせることで比較的効率的に工作できる見込みを立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時に有力であると考えていた「パスタ方式」を用いたファイバ素線配列手法を実際に試みたところ、素線が微細になると素線自身の巻癖や自重が十分にないことなどのために、想定よりも隙間なく整列しきれないことが判明した。しかしながら、ファイバ配列方法について、片側を初めから必要な長さに切り取らず、ロール状に隙間なく配列し、一部を固定したのちに切断する方式等を組み合わせることで比較的効率的に工作できる見込みを立てることができた。いかに精度よく効率的にファイバを配列できるかが、ファイバ面分光の高空間分解能化にとっての重要課題であり、よりよいファイバ配列工作方法を試行錯誤するために当初想定よりも余計に時間を要したものの、現実的かつ効率的な方法を初年度内に見つけることができたので、ほぼ予定通りの進度である。
初年度にファイバユニット前後の光学系設計も同時に進める予定であったが、ファイバユニット作成時の工作性の観点からファイバの太さを決定しきれなかったこともあり、設計を固められなかった。このため、予定では初年度内での光学部品の購入までを考えていたが、設計変更にともなう買い直しを避けるため見合わせた。光学部品の入手性はよいので研究全体の計画には大きな影響はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降の研究計画に変更はない。平成26年度に考案した方式によって実際に使用するファイバユニットの作成を行うとともに、前後光学系の設計・作成をし、観測システムの完成を目指す。
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Causes of Carryover |
ファイバ素線の配列方法の検討に際して、試行錯誤の段階では安価なファイバや代替素線を使うこと等により経費の削減を図った。また代替素線では入射・出射のファイバ対応測定などの評価をそもそもできないこともあり、これに必要となる冶具の作成を次年度に見合わせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越したものは、ファイバ配列方法の検討や光学系の設計が固まるまで使用を見合わせていたものである。したがって、当初の予定通り実機に使用する紫外透過型のファイバ素線購入および、入射・出射のファイバ対応測定冶具・光学材料の購入等にあてる。
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