2014 Fiscal Year Research-status Report
中生代初頭における異なる気候区での古風化変動史の比較
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26400485
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
吉田 孝紀 信州大学, 学術研究院理学系, 准教授 (00303446)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Triassic / Paleoweathering / Tethys / Nepal / Oman |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は三畳紀において温帯域と低緯度域に形成された2地域の気候条件を堆積物の風化度の差違から復元する試みである.平成26年度は,かつて温帯域で堆積した西ネパールのペルム・三畳系で高精度の堆積環境の復元を進めるために,西ネパールでの調査を行った.また,次年度に進める予定であったオマーン国北部での三畳系調査を予察的に行った. ネパール現地地質調査:現地調査では,ネパールヒマラヤでの研究実績のあるトリプパン大学Amar Deep Regmi 博士に同行を願い,ムクチナート地域に分布する三畳系の岩相変化の詳細な把握と試料採取を行った.調査期間は8 月中旬~9 月上旬の15 日間であった.調査地の下部三畳系は非常に薄層であり,露頭欠如のために十分な試料採取が困難であった.また,中部および上部三畳系は断層による構造的な攪乱を被り,層序の保存状況は不良であった.そのため,採取した試料の層準の把握は困難であった. オマーン北部現地地質調査:現地調査では、スメイニ地域において詳細な柱状図の作成と予察的なサンプル採取を行った.調査期間は12月上旬~中旬の14日間であった.三畳系は遠洋性泥岩と遠洋性石灰岩・泥灰岩の繰り返しからなり,下部三畳系では葉理石灰岩が卓越し、中部三畳系では遠洋性泥岩が、上部三畳系では陸源物質を豊富に含む泥灰岩が卓越することが判明した.層序の保存状態は良好であり,採取試料の室内分析を進めている. 堆積岩岩石学的検討・地球化学的検討:古風化史を解明するために,堆積物の化学組成から大陸の風化状況を検討した.特に,採取層準の明瞭なオマーン北部の試料については、信州大学理学部設置の蛍光X線分析装置を使用して,予察的な化学組成データを得た.また,新潟大学理学部設置のICPMSを利用して不溶性元素であるREE の濃度をも検討し,風化残留による元素の濃集を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネパール・ムクチナート地域での三畳系は,断層の分布や露出不良のために層序の保存状態に問題があり,試料採取が困難な層準が存在した.そのため,この部分の調査と試料採取は,例えば,ジュムラ地域などの別地域を検討することとなったため,当地の検討は,やや遅れていると判断される.一方、低緯度地域で堆積したと考えられるオマーン北部スメイニ地域での調査では,予察的ではあるものの,現地において十分に層序を把握でき、試料採取も順調になされた.また,採取された試料の化学分析もほぼ予定通りに進められており,効果的な調査計画の立案が可能であり,非常に順調に推移している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の調査で明らかとなったネパール・ムクチナート地域における三畳系層序の問題点の解決策として,平成28年度での極西ネパールのジュムラ地域の調査を検討中である.また,平成27年度に実施する北オマーンの地質調査は,予察的な検討結果が良好であったため,予定通り実施する.
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