2014 Fiscal Year Research-status Report
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26400496
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
金松 敏也 独立行政法人海洋研究開発機構, 地震津波海域観測研究開発センター, グループリーダー (90344283)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海底地すべり / 南海トラフ / 分岐断層 / 帯磁率異方性 / 滑動方向 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、既存試料に見られるリップアップクラスト、傾斜した層構造、シアーゾーンといった流動変形に伴った地すべり層の内部構造をX線三次元イメージ、および帯磁率異方性の歪みの度合い、剪断方向を示すパラメーターから、地すべり層内の変形構造と変形のセンスを推定した。また掘削コアの水平オリエンテーションは掘削時には記録されていないため、これらの方向を別途測定した古地磁気方位を使って復元することにより、地すべり層が滑動した方向を推定した。その結果、地すべり層下底の滑り面付近は強く剪断されているが、その剪断は上部に向かい少しずつ弱くなる事。地すべり層上部では乱堆積構造が認められるにも関わらず、強い垂直方向のコンパクションを受けたことが帯磁率異方性より推定される事。規模の大きな地すべり層はより複雑で、層理が強く折り畳まれた褶曲構造が発達している事が推察された。これより地すべり層の滑動時の剪断は一様でない事が考えられる。また当該海域では地すべり層の滑動は1.67Ma以降大きく2方向の地すべりが考えられ、1Ma以前は北東より、1Ma以降から現在までは北西より地すべりが供給されている事が推定された。これらの結果を”Flow dynamics of Nankai Trough submarine landslide inferred from internal deformation using magnetic fabric”というタイトルで論文化し、g-cubedに出版した。これらの解釈を元に、次年度航海は掘削点の北西方向海域の表層サンプリングを行う計画を立てた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画は、すでに採取されている掘削試料のデータ解析を進め地すべり層の滑動メカニズムを推測し、そこから地すべり層の発生海域を予測することであった。そして平成27年度にその海域を調査する計画である。こういった計画において平成26年度には十分データ解析を進めることができ、その解釈を論文化にまで進める事ができた。またその結果を元に掘削地点の北西方向に最も若い地すべり発生地点があることが分かり、これらの情報から調査の対象海域を限定することが事が出来たので、当初より計画以上に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には、巨大分岐断層付近の海底調査のため、航海に参加する予定である。調査海域において、C0018点を通過するサブボトムプロファイラーによる音響調査を実施する。それらの側線上を中心に海底下から採泥器を使って実際に堆積物コアを採取する。調査ではコア試料採取後、即座に試料の観察を行える準備をする。調査航海後は、採取される各コア試料の詳細な構造を調査するため、平成26年度同様の解析(X線三次元イメージの解析、磁気ファブリックの解析)を実施し、地すべり層の岩相変化が掘削地点から分岐断層にかけ、どのようであるか検討する。特にMTD1層の連続と考えられる地層がC0018地点から分岐断層へ連続して発達しているか検証する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に計画した学会発表に向け準備することが出来なかったため、旅費の使用がなかった。また追加のサンプル採取が実施できなかったため、消耗品費を使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年に計画した学会発表は、次年度以降に行う予定である。 追加サンプル採取実施にかかる消耗品費を、次年度に使用する予定である。
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