2016 Fiscal Year Annual Research Report
Structural behavior of nano iron hydroxide at the Earth surface
Project/Area Number |
26400511
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
興野 純 筑波大学, 生命環境系, 講師 (40375431)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フェリハイドライト / ヘマタイト / 高圧実験 / X線回折 / ラマン散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球表層に遍在する粒径数ナノメートルの鉄水酸化物であるフェリハイドライトは,幅の広い特徴的なXRDプロファイルのピークの個数によって2-lineフェリハイドライトと6-lineフェリハイドライトの二種類に分類される.フェリハイドライトはpHや温度に依存してヘマタイトやゲーサイトへ構造相転移することが知られているが,相転移における圧力の影響は未だに明らかにされていない.そこで本研究では,フェリハイドライトの高圧下での挙動を解明するため,高圧ラマン散乱実験,及び高圧X線回折実験を行った.高圧ラマン散乱実験では,20GPaまで測定を行ったが,レーザー照射によるフェリハイドライトからヘマタイトへの熱変成を防ぐためレーザー照射強度を約1 mWに設定して実施したため,結果的に鉄酸化物や鉄水酸化物への変化は検出されなかった.一方,高圧X線回折実験では,圧力が増加するにつれて,2-lineフェリハイドライトの特徴的なXRDプロファイルが変化していく様子が観察された.圧力の増加とともに,フェリハイドライトの特徴的なXRDパターンは5.2 GPaで変化し,9.2 GPaで明確な3つのピークが観察された.解析の結果,これらはヘマタイトの (012),(104),(113) のピークであると判明した.この結果から,2-lineフェリハイドライトは高圧下でヘマタイトに相転移することが明らかとなった.フェリハイドライトからヘマタイトへの構造相転移は,圧縮に伴う配位数の増加に起因すると推定される.本研究の結果は,フェリハイドライトにおける構造相転移と水酸化鉄の脱水との関係性を紐解く一つの手掛かりとなる可能性がある.
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