2014 Fiscal Year Research-status Report
走査透過電子顕微鏡法(STEM)による水酸化鉄ナノ鉱物結晶構造モデルの構築
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26400512
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小西 博巳 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30705215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤井 純治 新潟大学, 自然科学系, フェロー (30101059)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フェリハイドライト / 鉄水酸化物 / ラマン分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種の方法により合成されたフェリハイドライトが構造モデル構築を含むフェリハイドライト研究に用いられてきたが,合成試料がフェリハイドライトであると認定される根拠は,(1)FeとOを含むことと,(2)X線粉末法によりブロードな2から6本前後のフェリハイドライトとされるピークが得られることである。異なる方法で合成されるフェリハイドライトとされる合成試料が,同一構造をもつ物質であることを確認するために,各種合成法を追試した。4つのレシピで2-line Ferrihydriteと1つの論文で報告のあるレシピで6-line Ferrihydriteを合成し,合成試料をX線粉末法,透過電子顕微鏡,EDX分析により測定し,ナノサイズの鉄(水)酸化物パーティクルの集合物であり,フェリハイドライトの(1)と(2)の条件に一致することを確認した。さらに,ラマン分光法により測定し,合成試料間に相違がないかどうかを検討した。4つの方法で合成した2-line Ferrihydriteと6-line Ferrihydriteでは,類似したデータが得られたが,従来の報告と一致しない。粉末試料のラマン顕微分光測定法の検討(レーザーによる加熱変化の可能性),合成に使用した薬品,他の生成物の混入または吸着の可能性など,幾つかの角度からデータの吟味を行っている。さらに,他の方法による6-line Ferrihydrite合成,Schwertmannite合成を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
X線回折装置が故障し修理費(約140万円)が必要となり科研費より支払ったため,当初予定していた装置〈Osコーター)が購入できなかった。金属のコーティングによりSTEM観察におけるチャージング防止とコンタミネーション防止を同時に実現する方法の検討ができなかった。ソフトプラズマを利用したクリーニングの文献を検討し,他の資金でソフトプラズマクリーナーを購入し,ようやく,チャージングとコンタミネーションを同時に実現する方法の見通しがでてきたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
Ferrihydrite, Schwertmannite合成の追試により得られた粉末試料の顕微ラマン分光データの測定法(測定条件,試料準備)を再検討し,従来のデータと一致しない原因を検討する。そのうえで,4面体,8面体サイトへのFeの占有の情報をラマンデータから得られないかを検討する。 ソフトプラズマを利用したクリーニングにより,チャージングとコンタミネーションを同時に防止する方法を確立して,STEM観察を進め,STEM像からFe位置の情報を得る。
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Causes of Carryover |
寒剤(液体窒素)の使用量の学内請求が数か月に一度のため,科研費の会計年度と支払いにずれが生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
透過電子顕微鏡EDXの寒剤(液体窒素)の費用として利用する。
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Research Products
(2 results)