2014 Fiscal Year Research-status Report
カオリナイトの溶解速度に及ぼすタンパク質の影響の定量評価
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26400519
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 元治 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (80224814)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 溶解速度 / カオリナイト / 有機分子 / タンパク質 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球表層環境で進行している鉱物の溶解反応には生物起源の種々の有機分子が大きく関与していると考えられている。カオリナイトを用いたこれまでのバッチ式溶解実験では,タンパク質やアミノ酸による表面錯体形成がカオリナイトの溶解速度を著しく増大させることが確認されている。しかしながら,溶解速度に及ぼす影響の定量的な評価や反応機構の詳細は明らかではない。そこで本年度はフロー式によるカオリナイト(KGa-1)の溶解実験を行い、溶解速度に及ぼすタンパク質(BSA)の影響についての検討に着手した。実験では,まずフロー式による無機系での溶解実験を行い、溶液pHおよび溶液中のNaCl濃度に対するカオリナイトの溶解速度の定量評価を行った。実験条件としてバックグラウンドNaCl濃度を0.1、1.0、10.0mMの3段階に設定し、各NaCl濃度で溶液pHを3~6範囲の4段階に設定した計12種類の反応系について15日間の溶解実験を行った。実験の結果、反応初期段階でのSi濃度の急激な増大とその後の低下が進行し、反応期間10日以降はほぼ定常状態に移行することが確認された。定常状態でのSi濃度は溶液pHの低下に伴う著しい増大が確認され、NaCl濃度に対する変化はほとんど認められなかった。これらのSi濃度の変化から、各NaCl濃度での溶解速度式を算出すると、0.1mM NaCl: R= 10-11.344 (aH+)0271、1.0mM NaCl: R= 10-11.165 (aH+)0.302、10.0mM NaCl: R= 10-11.064 (aH+)0.333 が得られた。これらの結果から、無機系でのカオリナイトの溶解速度は溶液中のNaCl濃度の影響をほとんど受けず、溶液pHに対しては(aH+)0.3 程度で増大することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無機反応系での実験はほぼ終了し、カオリナイトの溶液pHに対する溶解速度を測定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はカオリナイトの溶解速度に及ぼすタンパク質およびアミノ酸の影響の定量評価とその反応機構を明らかにするため、BSA及び各アミノ酸を含む溶液中での溶解実験をおこなう。
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